中東諸国含む西アジアの経済成長率は2026年に4.1%、シリア、カタール、UAEが高成長の予測

(中東、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、イスラエル、トルコ、シリア、イラン)

調査部中東アフリカ課

2026年01月19日

国連経済社会局は1月8日、世界経済に関する報告書「2026年の世界経済情勢と展望」をプレスリリースした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。中東諸国を含む西アジア(注)の経済成長は、石油生産の増加とインフレ率の低下、金融緩和が成長を支える一方、石油価格の下落と地政学的緊張により不透明感が残るという。西アジアの経済(GDP)成長率は2025年の3.4%から、2026年には4.1%に加速するとの予測だ。なお、世界のGDP成長率は2025年に2.8%、2026年に2.7%にとどまる見込みだ。

産油国では増産で成長、地域全体では地政学リスクも

国別では、サウジアラビアでは、石油生産量の増加と非石油セクターの持続的な勢いに支えられ、GDP成長率は2025年の4.0%から2026年には4.4%に上昇する予想だ。トルコでは、高インフレ、財政引き締めなどにもかかわらず、堅調な内需に支えられ、2025年は3.7%のところ、2026年には3.9%と小幅な改善が見られると予測されている。

湾岸協力会議(GCC)諸国の経済は、石油・ガス生産の増加と非石油部門の持続的成長の恩恵を受け、特にクウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)は財政黒字を維持するとの予測だ。

西アジアの石油輸入国では、持続的なインフレ、財政制約のほか、紛争など地政学的リスクが成長見通しを曇らせている。ガザ地区での停戦や、シリアにおける新政権樹立など安定化への期待を高めているものの、地域では紛争や治安上の緊張が続き、貿易や投資の流れを混乱させ、経済見通しを不透明にしていると指摘した。また、ヨルダンとレバノンの高水準の債務は、財政の柔軟性を制約し成長見通しを鈍化させているという。

なお、報告書では、地域全体のインフレは緩和傾向にあるが、国によって動向が異なり、食料、エネルギー、住宅など生活費の負担は低所得世帯に重くのしかかり続けているとした。

シリア6.3%、カタール5.2%、UAE4.9%と高成長

2026年の中東の国別成長率予測をみると、シリアが6.3%、カタールが5.2%、UAEが4.9%と高い。中東主要国の2026年の成長率予測値は次のとおり(かっこ内は2027年の予測値)。

  • サウジアラビア:4.4%(4.3%)
  • トルコ:3.9%(4.1%)
  • イスラエル:4.2%(3.5%)
  • UAE:4.9%(4.5%)
  • イラン(南アジアに分類される):1.3%(2.4%)
  • イラク:1.7%(3.6%)
  • カタール:5.2%(3.7%)
  • 西アジア石油輸入諸国(参考):3.9%(3.9%)
  • 西アジア石油輸出諸国(参考):4.2%(4.0%)

なお、日本は2026年に0.9%、2027年に1.0%の予測だ。

(注)同報告書での「西アジア」の分類には、バーレーン、イラク、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、イスラエル、ヨルダン、レバノン、パレスチナ、シリア、トルコの14カ国・地域が含まれる。同報告書の分類ではイランは南アジアに含まれる。

(井澤壌士)

(中東、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、イスラエル、トルコ、シリア、イラン)

ビジネス短信 a4e045876b9f5a53