アルゼンチンの金融政策は外貨蓄積フェーズに

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2026年01月16日

アルゼンチン中央銀行は2025年12月15日、金融政策が外貨蓄積段階に入ると発表した。インフレの抑制を最優先課題に据えるハビエル・ミレイ政権の下で、中銀は、金融政策を財政赤字ゼロの第1段階、通貨発行ゼロの第2段階と位置付け、その後を資本取引規制の緩和に重きを置いた第3段階と位置付けていた。今回の発表により、金融政策は、外貨準備高の積み増しに重きを置いた第4段階に入った。

中銀は、これまでの政策によるマクロ経済の安定、2025年10月の中間選挙での与党勝利による政治的不確実性の後退により、経済成長、マネーへの需要の回復、外貨準備高の蓄積に向けた条件が整ったとしている。こうした状況を受け、外国為替市場におけるドル買いとそれによるペソの供給を通じ、インフレを抑制しつつ、外貨の蓄積と経済成長に必要なマネーの供給を実現するとしている。

具体的には、為替バンド幅の新たな変動規則の導入、中銀による外国為替市場での外貨購入方針の提示、市場とのコミュニケーション強化、預金準備金政策の正常化の4つの金融政策を掲げた。

バンド幅は、2025年4月11日から導入されている為替バンド制の上限と下限のそれぞれの変動幅を2026年1月1日以降、これまでの月1%の拡大から国家統計センサス局(INDEC)公表の2カ月前のCPI上昇率に合わせた変動率とする。1月2~31日の上限と下限は、2025年10月のCPI上昇率と同じ2.3%に拡大する。これにより、ペソが過大評価されることを防ぐ。

中銀による市場での外貨購入は、マネー需要と外国為替市場の流動性への影響の2つの要素を考慮する。中銀によると、前者では、現在のマネタリーベースはGDP比4.2%程度だが、マネー需要がGDP比4.8%まで高まるとのシナリオに基づき、2026年内に市場で100億ドルを買い入れることでその需要を満たすとしている。後者は、中銀のドル買いによる為替レートへの影響を避けるため、1日当たりの外貨購入額は、外国為替市場の1日当たりの取引高の5%に相当する額とする。

預金準備金制度は、これまでの高率の準備率かつ厳しい拘束条件の結果、金融機関の仲介機能が失われていたことを受けて、資金の流動性を回復させるため、段階的に制度の正常化を図るとしている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 9b78b3e3311a9728