トランプ米政権、大規模発電所の建設のため、緊急電力入札の実施を要請

(米国)

ニューヨーク発

2026年01月22日

米国エネルギー省のクリス・ライト長官と内務省のダグ・バーガム長官は1月16日、新たな大規模発電所建設のため、全米最大の電力網運営会社PJMインターコネクションに対し、約150億ドル規模の新たな発電所を建設するための入札を行うよう要請した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)。

PJMに対する要請には、次の点が盛り込まれている。第1に、新規の発電所が安定的に建設されるよう、15年間の収入を保証し、電源開発を加速すること。第2に、既存の発電所がPJM容量市場(注2)で受け取れる支払額に上限を設け、消費者(料金支払者)を保護すること。第3に、データセンターが新規の発電所から電力供給を受ける場合、当該データセンター、あるいはそれを所有するテック企業に対して発電設備の建設費用を負担することを義務づけること。第4に、米国の人々に対して、より安価で、より信頼性が高く、安全な電力供給を実現するための追加措置を講じること。

米国では人工知能(AI)需要を背景にデータセンター関連投資や発電能力・送電網の強化が進むにつれ、特にメリーランド州やペンシルベニア州など中部大西洋岸地域を中心に、周辺住民への電力コストの上昇や停電などが問題視されている。この要請は、AI開発、特にそれを支える中部大西洋岸地域でのデータセンター建設ブームに対応する新たな発電所の設置と、そうした需要に係る費用をテック企業に負担させるという2つの意図がうかがえる。

ライト長官とバーガム長官は発表の中で、現在の米国のエネルギー不足について、代替エネルギーが十分確保されない中、バイデン前政権が石炭火力発電所や天然ガス発電所を強制的に閉鎖したことが原因だと指摘した。その上で、今回の要請は「中部大西洋岸地域の未来を、納税者に負担させることなく電力で支えるための解決策である」と強調した。さらに、納税者ではなくテック企業が出資する新たな発電所の建設により、AI時代を切り開いていくとの考えを示した。

なお、エネルギー関連日系企業の同地域での動向としては、九州電力が同日、同社の子会社であるキューデン・インターナショナルが再生可能エネルギー事業を強化するため、テキサス州の蓄電池事業への参入外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに続き、ペンシルベニア州の太陽光発電プロジェクトへの出資外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。データセンター建設を牽引するGAFAM(注3)は、特にクリーンエネルギーの利用を目指すところ、トランプ政権が進めるガス火力発電のほか、データセンター周りの再エネ利用についても引き続き注目される。

(注1)ただし、発電所の電源の指定はない。

(注2)電力供給の安定性を確保するため、電力需要の将来の予測に基づき必要な電力供給を確保するための電力容量。必要に応じいつでも電力を供給できるよう待機している発電所に対しては、PJMから待機報酬が支払われる。つまり、この文脈ではその支払額に上限をつける、ということを意味する。

(注3)グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフトの大手テック企業5社のこと。

(久峨喜美子)

(米国)

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