スペイン最高裁が「Donut」使用にストップ
(スペイン、EU)
デュッセルドルフ発
2026年01月14日
スペイン最高裁判所は2025年10月28日、スペインでドーナツなどの焼き菓子を製造、販売するベーカリー・ドーナツ・イベリアがアトランタ・レスタウラシオン・テマティカ(以下、アトランタ)を提訴した商標権侵害訴訟で、原告の一部請求を認めた。アトランタは自社ブランド「Redondoughts」を販売する際、ラベルやパッケージには使用しなかったものの、ウェブサイトの商品説明に「Donut」と記載していた。スペインでは「DONUTS」は、ベーカリー・ドーナツ・イベリアが属するグルーポ・ビンボにより1967年から商標登録されている。
アトランタは、「dónut」という用語が、スペイン王立アカデミーの辞書に掲載されており、「Donut」の用語は単に説明目的の利用であって商標権侵害ではないと反論していた。しかし、裁判所は商標法第37条に基づき、他人の商標を説明目的で使う場合でも「公正な商業慣行」に沿う必要があると指摘。今回の使用は、著名商標「DONUTS」の評判を利用し、当該商標の識別力を損なう恐れがあるため不当、と判断した。スペイン語でドーナツを指す代替表現が他にあるにもかかわらず、ブランド名と同一の語を選んだ点が重視されたかたちだ。
なお、本判決において、損害賠償や競争法違反に対する提訴は認められなかった。
欧州では、商品説明やEC(電子商取引)サイトでの記載でも、著名商標の利用が不公正とされる可能性がある。特に食品やファッションなどブランド力が強い分野では、説明文に他社商標を使うことはリスクとなり得る。海外展開に際しては、一般名詞と安易に判断せず、現地の商標法や判例を確認し、他社製品との混同を避けるために代替表現を使うなどの工夫が重要だ。
なお、同判決については2025年12月2日付の欧州委員会記事
でも解説されている。
(吉森晃、佐藤吉信)
(スペイン、EU)
ビジネス短信 7988247408dc07d8




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