合併・買収貸付管理弁法を公布、M&A用資金の貸し付けの条件を一部緩和

(中国)

北京発

2026年01月09日

中国の国家金融監督管理総局は2025年12月31日、「商業銀行による合併・買収貸付管理弁法」(金規[2025]27号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。本弁法は「商業銀行による合併・買収貸付リスク管理ガイドライン」(銀監発[2015]5号)を改定したもので、弁法制定にあたり2025年8~9月に意見募集が行われていた。本弁法は即日施行され、従来のガイドラインは廃止となった。

金融監督管理総局は今回、弁法を制定した背景について、産業統合・高度化の潮流が形成されつつあり、企業のM&Aによる再編が今後さらに進む見込みであるとして、従来のガイドラインを最適化し、企業によるM&Aを促進させるためと述べている。

金融監督管理総局は、新しく制定された弁法における従来のガイドラインからの変更点は主に次の4点と解説している。

  1. M&A貸し付けの適用範囲を拡大し、支配型M&A貸し付けに加え、資本参加型M&A貸し付けを許可(注1)。
  2. 融資条件を最適化し、支配型M&A貸し付けの取引価格に対する比率の上限を引き上げるとともに、最長融資期間を延長(注2)。
  3. 支配型M&A貸し付けと資本参加型M&A貸し付けを行う銀行に対し、それぞれ事業資格要件を設定して差別化(注3)。
  4. 買収側企業の債務返済能力評価を重視するとともに、借り入れ人とM&A取引そのものの審査を同等に重視。

進むM&A貸し付けの緩和、M&Aによる海外進出も視野に

国家金融監督管理総局は2025年3月5日に「科学技術企業M&A貸し付けの適度な緩和に向けた試行」を発表した。これは、北京市、上海市など18都市において、科学技術企業におけるM&Aでの資金調達における課題を解消するため、貸付金額割合と融資期間の制限を緩和したものとなる(注4)。

また、国家金融監督管理総局上海監督管理局は2024年9月、企業の海外進出支援を目的の1つとした「臨港新エリア(上海自由貿易試験区内に位置)における非居住者M&A貸付制限の慎重な緩和の試行実施プラン」を発表し、FTN口座(非居住者自由貿易口座、Free Trade Non-resident)を用いたM&A貸し付けの条件緩和の試行を進めている(注5)。

(注1)支配型M&A貸し付けとは、単一の買収側企業または複数の買収側企業が共同で、対象企業または資産の支配権を取得することを目的とした融資を指す。資本参加型M&A貸し付けとは、単一の買収側企業が対象企業の支配権を獲得せず持ち分のみを取得することを目的とした融資を指す。

(注2)これまでのガイドラインではM&A取引価格に対する貸付比率は60%未満とされていたが、弁法では、支配型M&A貸し付けの比率は70%未満とされた。なお、資本参加型M&A貸し付けは60%未満とされている。また、ガイドラインでは融資期間を最長7年としていたが、弁法では、支配型M&A貸し付けは最長10年とされた。なお、資本参加型M&A貸し付けは最長7年とされている。

(注3)M&A貸付業務の事業資格要件の1つに、前年末の連結財務諸表オンバランス・オフバランス調整後資産残高が500億元(約1兆1,000億円、1元=約22円)以上とされているが、資本参加型M&A貸付業務を行う場合の事業資格要件は、前年末の連結財務諸表オンバランス・オフバランス調整後資産残高が1,000億元以上とされている。

(注4)本試行では、一定の条件を満たす場合、M&A取引価格に対する貸付比率を80%未満、融資期間を最長10年に緩和している。

(注5)本試行プランでは、一定の条件を満たす場合、非居住者に対してFTN口座を用いたM&A貸し付けを実行する際、M&A取引価格に対する貸付比率を80%未満、融資期間を最長10年に緩和している。

(亀山達也)

(中国)

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