シリア、パレスチナ、イラクの経済復興・発展に向けたフォーラム開催
(シリア、パレスチナ、イラク、日本)
調査部中東アフリカ課
2026年01月21日
日本の経済産業省とジェトロは1月19日、東京で「シリア・パレスチナ・イラク経済復興・発展フォーラム-公的支援と民間貿易投資の効果的連携に向けて-」を共催した。中東地域の駐日大使館関係者に加え、日本の政府や企業などから約270人が参加した。
フォーラムでは「大使館から見た日本企業との連携可能性」と題したパネルディスカッションが行われた。パネリストから紹介のあった各国・地域の現状や日本企業との連携の可能性は次のとおり。
〇パレスチナ:ワリード・アリ・シアム大使(駐日パレスチナ常駐総代表部)
- 不安定な状況だが、経済活動は継続。今後は「人道支援や基礎的な公共サービスを回復する第1段階(1~3年)」「生産力回復のために中小企業や軽工業、農業を支援する第2段階(5~7年)」「持続的な成長を目指す第3段階(10年~)」の3段階に分かれると予測。
- 日本企業は、農業、IT、通信、再生可能エネルギー、水管理、公共インフラなどに投資機会がある。投資による経済的関与はパレスチナの安定や雇用創出にもつながる。
〇シリア:ナジブ・エルジ臨時代理大使(駐日シリア大使館)
- 2024年12月のアサド政権崩壊(2024年12月10日記事参照)で、インフラなどの状況が悪化したが、資源をもとに復興中。復興には多額の費用が必要(注1)。
- エネルギー、再エネ、高速道路、港湾、鉄道分野などへの投資が必要。2025年7月の投資法改正で、事業環境の改善を図っている。
〇イラク:ジヤード・ターリク・アシュール参事官(駐日イラク大使館)
- 国全体が安定してきており、石油に依存した国家収入源の多様化を図っている。
- 既に他国企業がイラクで事業を展開している。今後はインフラ、エネルギー、物流、港湾、住宅、金融などの分野に注力。日本の技術も必要としている。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
また、企業事例紹介として、伊藤忠プランテックの夏川忍プロジェクト開発第2部長から、2025年8月のイラクでの下水処理施設建設事業の契約締結
について紹介があった。本プロジェクトは同国のエルビル初の下水道処理施設の整備で、2038年までに下水処理施設の処理能力を日量84万立方メートルへ拡張する計画だという。夏川氏は「エルビルが比較的安全であったことや、イラクで実績のあるトルコのチャルック・エナジーという信頼できるパートナーの存在が契約の決め手となった」と紹介した。
イラクでの事例の紹介を行う伊藤忠プランテックの夏川忍氏(ジェトロ撮影)
なお、フォーラムでは日本側の関係機関による支援ツールの紹介(注2)や参加者同士によるネットワーキングも行われた。
(注1)世界銀行が2025年10月21日に発表した報告
によると、シリアの復興のために必要な費用は2,160億ドルに上るという。
(注2)ジェトロのほか、関係機関〔国際協力機関(JICA)
、国際協力銀行(JBIC)
、日本貿易保険(NEXI)
、中東協力センター(JCCME)
〕が支援ツールの紹介を行った。
(加藤皓人)
(シリア、パレスチナ、イラク、日本)
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