カスト新政権の閣僚人事発表

(チリ)

調査部米州課

2026年01月27日

チリの次期大統領に就任予定のホセ・アントニオ・カスト氏は1月20日、自身の政権の閣僚名簿を発表した。閣僚メンバーの特徴としては、無所属が16人を占め、カスト氏と同じ共和党所属者は2人しかいない。また閣僚経験や行政での業務経験のある者も限られた人選となっている。

今回の閣僚人事で注目されているのは、経済・振興・観光相と鉱業相とがダニエル・マス氏により兼務となったことだ。マス氏は鉱業分野での経験が乏しいにもかかわらず、経済・振興・観光相との兼任となったことで、チリの主要産業である鉱業の優先度が下がるのではないかとの懸念の声が産業界から上がっている。

法務・人権相に任命されたフェルナンド・ラバット氏はチリで軍事政権を主導したアウグスト・ピノチェト元大統領の裁判でピノチェト元大統領側の弁護人を務めた経験を持つ。多数の人権侵害事件を起こしたピノチェト元大統領を擁護した経験を有する同氏を、人権保護を所掌する法務・人権相とするべきなのかといった点で物議を醸している。

カスト氏が重要政策に掲げている治安対策を担う治安相にはトリニダード・ステイナート氏が就任する。ステイナート氏は北部地域の検察で不法移民や国際犯罪の取締り業務の経験がある。タラパカ州検察長時代は国際犯罪組織の「トレン・デ・アラグア」に対する大規模な摘発に成功した。

〇閣僚一覧は次のとおり(かっこ内は主な経歴)。

  • 内相:クラウディオ・アルバラード(元大統領府長官)
  • 外相:フランシスコ・ぺレス・マッケンナ〔投資会社キニェンコ(Quiñenco)最高経営責任者(CEO)〕
  • 防衛相:フェルナンド・バロス(弁護士)
  • 財務相:ホルヘ・キロス(コンサルタント会社パートナー)
  • 治安相:トリニダード・ステイナート(元検事)
  • 経済・振興・観光相兼鉱業相:ダニエル・マス〔チリ生産商工連合(CPC)副会長〕
  • 社会開発家族相:マリア・ヘスス・ウルフ〔共和党の母体となったアクシオン・レプブリカーナ(Acción Republicana)副代表〕
  • 教育相:マリア・パス・アルソラ(選挙戦時にカスト陣営の教育政策を設計)
  • 法務・人権相:フェルナンド・ラバット(弁護士、アウグスト・ピノチェト元大統領の弁護を経験)
  • 労働・社会保障相:トマス・ラウ(労働経済学者)
  • 保健相:マイ・チョマリ(国立健康情報システムセンター所長)
  • 公共事業相:マルティン・アラウ(元ニュブレ州知事)
  • 住宅・都市計画相:イバン・ポドゥヘ(建築士、元住宅・都市計画省顧問)
  • 農業相:ハイメ・カンポス(元法務・人権相)
  • 運輸通信相:ルイス・デ・グランジ(元サンティアゴ地下鉄社長)
  • 国有財産相:カタリーナ・パロット(元国有財産相)
  • エネルギー相:ヒメナ・リンコン(元上院議長、元労働・社会保障相)
  • 環境相:フランシスカ・トレド(元社会開発家族省投資社会評価局長)
  • 女性・ジェンダー平等相:ユディス・マリン(元サン・ラモン市議)
  • スポーツ相:ナタリア・ドゥコ(元砲丸投げ選手)
  • 文化相:フランシスコ・ウンドゥラガ(元下院議員)
  • 科学・技術・知識・イノベーション相:ヒメナ・リンコラオ〔テック企業(Phone2Action、BuildWithin)創業者〕

(佐藤輝美)

(チリ)

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