ウクライナ中銀、越境資金取引規制を緩和
(ウクライナ)
調査部欧州課
2026年01月23日
ウクライナ国立銀行(NBU、中銀)は1月13日、理事会決議第2号「2022年2月24日付ウクライナ国立銀行理事会決議第18号の改正について」を承認し、翌14日から施行した。戒厳令下のウクライナでは、明確に定義された条件に基づく越境資金移動のみが許可されているが、その条件が緩和された。ウクライナ企業が海外から調達した資金を柔軟に運用できるようにすることが狙い。主なポイントは次のとおり。
(1)融資限度額の導入とその範囲内での特定の越境資金取引の許可(注):融資限度額は2026年1月以降に海外から外貨建ての融資により企業のウクライナの銀行口座に入金された資金額と同額。この限度額の範囲内で、企業は次を含む決済が可能。
- 2021年2月23日以前(同日を含む)に納品された商品の輸入代金の支払い
- 2022年2月23日以前に商品に対して行われた前払いの、非居住者バイヤーへの払い戻し
- 2023年6月20日以前に受け取った対外融資に基づく債務履行
- ウクライナ企業の海外の駐在員事務所や支店の資金調達(別途設定された制限を超える金額)
- 海外株主への配当送金(別途設定された制限を超える金額)
なお、融資限度額内の決済には、a.融資元本を返済した場合は、それに応じて融資限度額が減少。b.融資限度額内で決済が実行された場合、融資元本返済のための送金額は未払い残高から実行済みの決済額を差し引いた額に制限、c.融資限度額内の外貨取引は、企業が融資の資金を受領した銀行を通じてのみ実行可能、などの詳細条件がある。詳細はNBUプレスリリース
を参照。
(2)ウクライナの販売業者や製造者は、返品された商品や未配達の商品の代金の払い戻しを目的に、外国の銀行の個人口座に外貨を送金することが可能。決済通貨建てでの返金額は購入時の商品価格を超えないものとし、商品購入の支払いが行われた消費者の口座に対して行うなどの詳細条件がある。
また、NBUは同13日、物品の輸出入に関する支払い期限の導入およびその例外などを定める2019年5月14日付NBU理事会決議第67号の改正にかかる決議を承認し、翌14日から施行した。その結果、輸出取引の決済期限の適用対象から、a.輸出信用機関(ECA)に支払い請求権が譲渡された輸出契約に基づく商品輸出(ECAが輸出者に対して支払った保険金金額の範囲に限る)、b.保険サービスの輸出が外された。
(注)2025年5月にNBUは、投資限度額と呼ばれる、融資限度額と同様の決済を許可するスキームを導入していた。今回の措置により、企業の「古い債務」の整理と、海外からの新たな資金の誘致を促す。
(柴田紗英)
(ウクライナ)
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