ポーランド、新造船「ヤンタル・ユニティ」が就航、造船産業再建の象徴も外国船籍を巡り批判

(ポーランド、スウェーデン、キプロス)

ワルシャワ発

2026年01月23日

ポーランドで約46年ぶりに新造されたRoPax(注)フェリー「ヤンタル・ユニティ(Jantar Unity)」が1月17日、シュチェチンで進水式を迎えた。同船はグダニスクのレモントバ造船所で建造され、1月20日からポーランド(シフィノウイシチェ)~スウェーデン(イエーテボリ、イースタッド)間を就航する。液化天然ガス(LNG)とディーゼル燃料で稼働し、バッテリーで補助するハイブリッド方式の推進システムを採用。現在最も厳しい船舶排ガス基準とされる国際海事機関(IMO)のティア3に対応した最新鋭船とされる。旅客約400人、トラック約270台を積載可能で、物流効率の向上が期待されている。

同プロジェクトは、国内造船業の再活性化という点で経済的意義が大きい。建造には数千人規模の雇用があり、政府は本船を「ポーランド造船産業復活の象徴」と位置付け、今後も同型船の建造を計画している。建造費は2億5,000万ユーロ以上とされ、投資回収に12~16年かかると想定されている。

国内造船産業の再建が強調される一方で、同船がキプロス船籍で登録されている点を巡り批判が起きている。ポーランドで建造されながら外国船籍とされた理由としては、国内の保険や税制度などが十分に整備されていないことが指摘されている。これについて、インフラ庁のアルカディウシュ・マルヘフカ副大臣は、現時点で船籍をポーランドにすることは運航会社の倒産につながりかねないと指摘し、「ポーランドの事業者がグローバルな海運競争に参入できるよう、国内で税金の負担を軽減できるような制度を整える必要がある」とコメントした。同副大臣のX(旧Twitter)への投稿によれば、ポーランド船籍船にとって魅力的な税制、人件費の削減、船舶登録手続きの簡素化を規定した法案が、近日中に閣僚理事会常任委員会に提出される予定だ。

海事経済紙「ガゼタ・モルスカ(Gazeta Morska)」は、ポーランドでは自国籍の船舶を持たないことによって、税金、手数料、保険料などから得られるはずの数十億ズロチの予算が毎年、他国に流失していると指摘する。金銭的な損失だけではなく、国際海運における能力や影響力、戦略的主体性の喪失にもつながっているとし、法制度整備の加速と自国籍船増加の重要性を呼びかけている。

(注)Roll-On/Roll-Off Passengerの略で、旅客と車両の双方を運ぶ大型船のこと。

(金杉知紀)

(ポーランド、スウェーデン、キプロス)

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