ミレイ政権、労働制度改革に着手

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2026年01月16日

アルゼンチン政府は、2025年12月10日から30日にかけて開催された臨時国会において幾つかの重要な法案について審議し、2026年度国家予算、税務無罪推定法が成立した。継続審議となっている法案の1つに、労働制度を大幅に改革する労働現代化法案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)があるが、企業活動や労働組合への影響が大きいため注目を集めている。国会で法案を通すため、政府は国会運営に影響力を持つ州知事などと交渉を継続しており、2026年2月に開催される臨時国会で採決されるとみられている。

労働制度改革は、就労条件から労働組合まで広範な分野の制度を見直す。具体的には、労働者登録手続きのデジタル化、簡素化、解雇補償金の見直し、非報酬型社会的給付の導入、給与支払い方法(デジタルウォレット、外国通貨)の柔軟化、労働時間の柔軟化、休暇制度の柔軟化、病気休暇制度のチェック体制強化、国家職業訓練制度の導入、下請け労働者に関する間接雇用主責任の緩和、季節・期間限定契約の導入、企業内組合の強化、労使協定の有効期限明確化による透明性向上、職場集会・ストライキに関する規制強化、必須業務における最低サービス要件の導入、労働組合役員などの身分保護の見直し、などが盛り込まれている(添付資料表参照)。

トルクアト・ディ・テラ大学のフアン・ネグリ教授によると、労働制度改革の目的は2つあり、第1に、労働組合の権限を弱体化すること、第2に、企業の柔軟性を高め、雇用コストを下げることだ。経済成長と雇用創出を促進するための基盤的施策との位置付けだが、社会的摩擦と政治的駆け引きを伴う難題でもある。改革は経済全体にはプラスだが、個々人には不利益をもたらす可能性もあり、国民が経済成長を実感できることが不可欠ともしている。

労働組合の全国中央組織である労働総同盟(CGT)やアルゼンチン労働者センター(CTA)は、労働制度改革が企業側に有利な内容であり、労働者の権利の弱体化、労働者を解雇しやすくなることで雇用が不安定化する、下請け労働者の増加につながる、労働組合の弱体化につながる、として改革に反対する姿勢を示している。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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