イスラエルのソマリランド承認で国連安保理が緊急会合
(イスラエル、ソマリア、シエラレオネ、パナマ、米国、アフリカ)
テルアビブ発
2026年01月05日
イスラエル首相府は2025年12月26日、アフリカ東部のソマリランド(注)を独立主権国家として正式に承認したと発表
した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ギデオン・サール外相、ソマリランドのアブディラフマン・モハメド・アブドゥラヒ大統領は共同相互宣言に署名した。イスラエル首相府によると、この宣言は米国のドナルド・トランプ大統領主導で署名された「アブラハム合意(2020年9月17日記事参照)の精神に基づくもの」としており、「農業、保健、技術、経済分野における広範な協力を通じ、ソマリランドとの関係を直ちに拡大する計画である」としている。
ソマリランド大統領とオンライン会談をするネタニヤフ首相(イスラエル政府報道局提供)
イスラエルによる国家承認を受けて、国連安全保障理事会は2025年12月29日に緊急会合を開催
した。国連によると、複数の安全保障理事国が「『アフリカの角』(東アフリカ地域)の安定を脅かす」と警告したとしている。ソマリア代表は「領土保全への露骨な攻撃」と非難し、アラブ連盟やアフリカ連合も反対を表明した。シエラレオネ代表は「主権・統一・領土保全は憲章に基づく基本的義務であり、アフリカの安定と国際平和・安全保障の礎である」と強調した。パナマ代表は慎重さを求め、「一方的な承認」に警鐘を鳴らした。
一方、米国代表はイスラエルの承認を擁護し、ソマリランドは「他の主権国家と同様に外交関係を結ぶ権利を有する」と述べたが、「米国による承認について発表することはなく、米国の政策に変更はない」と付け加えた。イスラエル代表は、自国のソマリランドとの関与には「長く一貫した実績がある」と強調した上で、イスラエルの承認は「国際法に沿い、この理事会が維持すべき価値観に合致する、長く確立された現実に対する合法的かつ原則的な認識」だと述べた。
「エルサレム・ポスト」紙社説(12月28日付)は、承認の利点として、ソマリランドの地理的要衝性を指摘し、アデン湾とバブ・エル・マンデブ海峡に近い位置は、紅海航路の安全確保に不可欠で、戦略的深度を強化する機会となるとしている。一方で、アフリカ諸国が重視する「国境維持の原則」を弱める前例となりかねないことや、ソマリアによる長期的な外交圧力、紅海地域での緊張激化のリスクを警告した。
イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集、イスラエルとイラン情勢の特集を参照。
(注)ソマリア北西部の旧英国領ソマリランド地域で、1991年5月に独立を宣言。日本政府はソマリランドを国家として承認していない。
(中溝丘、テヒラ・シャラビー)
(イスラエル、ソマリア、シエラレオネ、パナマ、米国、アフリカ)
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