WHOとインド政府、伝統医療グローバルサミットを共催

(インド)

ニューデリー発

2026年01月14日

世界保健機関(WHO)とインド政府は2025年12月17~19日、第2回WHO伝統医療グローバルサミットをインドの首都ニューデリーで開催した。世界各国の伝統医療に焦点を当てた本サミットには、100カ国以上から閣僚や政策立案者、研究者などが参加した。主催者発表によれば、会場参加者数は約800人、オンライン参加者数は約2万人だった。

サミットでは、WHO加盟国の9割近くが何らかのかたちで伝統医療を利用する実態があるにもかかわらず、各国の保健政策の議論から外されやすい点や、保健分野における世界の研究資金全体の1%未満しか伝統医療向けに支出されない現状について指摘がなされた。この状況を踏まえ、WHOは本サミットの会期中、伝統医療に関するグローバルな知見を集約するための伝統医療グローバルライブラリーの設立を発表した。また最終日には、伝統医療における研究とエビデンス構築の強化、適切な規制を通じた伝統医療へのアクセス支援、伝統医療の近代保健制度への統合、伝統医療の価値向上などをうたった「デリー宣言」が採択された。

ナレンドラ・モディ首相は閉会式に出席し、伝統医療を「人類の集合的な知恵を体現し、何世紀にもわたる生活経験と自然との調和を通じて洗練されてきたもの」だとして、その重要性を強調した。また、インド西部グジャラート州ジャムナガルに、伝統医療の応用研究や近代科学との統合を推進するWHO伝統医薬グローバルセンターが2022年に設立されたことは「インドが得た特権であり、誇りである」と述べ、伝統医療分野においてインドが主導的な役割を果たしていると説明した。

インド政府は、近代医療や保健分野を所管する保健・家族福祉省とは別に、アーユルベーダやヨガを含む伝統医療分野を所管するアユシュ(AYUSH)省を2014年に立ち上げるなど、近年力を入れている。インド商工省傘下のインド・ブランド・エクイティー・ファンド(IBEF)のレポートによると、この分野の国内市場規模は2014年の28億5,000万ドルから2024年には240億ドルと、10年間で8倍以上に拡大した。また、外国人向けアユシュビザの導入や関連サービス施設の充実化により、インド国内のウェルネス(健康)観光の市場規模は2024年の194億3,000万ドルから、2031年には298億8,000万ドルにまで拡大すると予測されている。

(リティカ・メータ、広木拓)

(インド)

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