ブルガリア大統領が辞任表明、現行政治体制を批判
(ブルガリア)
ブカレスト発
2026年01月21日
ブルガリアのルメン・ラデフ大統領は1月19日、国民に向けたテレビ生放送で、「これが大統領として最後の演説だ」と辞任を表明し、翌20日に憲法裁判所へ辞表を提出すると明言した。同国の民主化以降、大統領の辞任は初となる。憲法裁判所がラデフ氏の辞任を承認した後、ブルガリア憲法97条に基づき、イリヤナ・ヨトバ副大統領が2027年1月までのラデフ氏の残任期間、大統領代行を務める。女性が大統領職を務めるのは同国初となる(「ソフィア・グローブ」1月19日付)。
ラデフ氏は辞任声明で、現行の政治体制への強い批判を展開した。同氏は、ブルガリアの政治が「表向きは民主主義だが、実態は寡頭制の仕組みで動いている」と指摘し、政治家とその協力者たちが「操り人形のように支配されている」と述べた。また、シェンゲン圏加盟やユーロ導入を果たした一方で、国民の生活は安定せず、投票率の低下や司法不信が深刻化していると指摘し、民主主義を存続させるため、国民との「新たな社会契約が必要だ」と訴えた。また、前政権下での憲法改正が「行政権の恒常的な寡頭支配を確実なものにした」と批判し、ユーロ導入時期を巡る国民投票の否決を「国民の選択権の否定」と位置付けた。
今回の辞任は、ラデフ氏が新たな政治勢力を率いて議会選挙に参加するための動きとみられている。現地紙「キャピタル」は、同氏の参加は既存の政治勢力図に大きな変動をもたらす可能性があり、第1党「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」の優位を脅かすほか、小規模政党を議会外に押し出すと分析している。また、既存政党に失望した棄権層が新勢力の支持基盤となる可能性も指摘されている(「キャピタル」1月19日付)。
なお、ローセン・ジェリャズコフ首相率いる内閣が全国的な抗議活動の圧力を受け、2025年12月11日に総辞職した後、主要政党がいずれも組閣を断念したため、2026年春に議会選挙の実施が見込まれている。これは過去5年間で8回目の議会選挙となる。ヨトバ副大統領は大統領代行に就任後、暫定首相の任命と早期議会選挙の日程決定の責務を担う。
(本吉美友)
(ブルガリア)
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