メキシコ大統領が声明、協力は歓迎、隷属と介入は拒否

(メキシコ、ベネズエラ、米国)

メキシコ発

2026年01月09日

米国によるベネズエラへの直接介入ならびにメキシコの対外政策への姿勢について、クラウディア・シェインバウム大統領は声明を発表した(大統領府1月5日付)。メキシコは自由で独立した主権国家であり、協力は歓迎するが、隷属と介入を拒否するとして、トランプ政権を強く意識した姿勢を示した。

直接介入への強い非難

同声明の中で大統領は、米国によるベネズエラへの直接介入(マドゥーロ大統領らの拘束および犠牲者の発生)に対し、「主権侵害であり、断固として拒否する」と表明。「介入が民主主義や安定をもたらした例はない」と断じ、自決権は国民のみにあると強調した。

また、メキシコの外交原則として、メキシコ憲法および国連憲章に基づき、国家主権の尊重、領土の保全、民族自決を「交渉不可能な原則」として位置づけた。そして武力による支配ではなく、アジアの経済成長に伍(ご)していくための「対等な協力と地域統合」を掲げた。

大陸全体の発展に向けた5つの提案

次に、アメリカ大陸が介入ではなく「協力」に基づいた新たなビジョンへと進むべきであるとし、5つの提案を行っている。

  • 主権の尊重:外部の圧力なしに各国の政治・経済モデルを決定する権利。
  • 生産的投資:インフラ、エネルギー、科学技術への投資による発展。
  • 地域経済統合:北米・中南米でのサプライチェーン共有と自給自足の促進。
  • 社会福祉:(貧困、不平等などの)格差是正を伴わない経済成長は真の進歩ではない。
  • 対等な対話:相互尊重に基づいた恒久的な対話。

続けて、アメリカ大陸はいかなる主義(ドクトリン)や強国のものでもないという信念を持っており、アメリカ大陸は、それを構成する各国それぞれの国民のものだとし、トランプ政権が掲げるいわゆる「ドンロー主義」への拒絶を示した。

対米関係で協力の4原則を提言

最後に、メキシコにおける麻薬密売および組織犯罪との戦いに関しては、ここ数カ月、米国との間での4つの原則に基づく「理解」を確立してきたとしている。具体的には、「主権尊重」「共同責任」「相互信頼」「隷属なき協力」の4つを条件に協力をするというものだ。

ここで、共通の責任、相互尊重、相互信頼について、メキシコが直面している暴力の原因の1つには、米国からメキシコへの武器の不法流入、そして隣国(米国)における深刻な薬物消費問題があると指摘。メキシコと米国の両国において、薬物を流通させマネーロンダリングを行うグループに対して、(共通の責任として)断固として立ち向かうべきであると強調した。

(中島伸浩)

(メキシコ、ベネズエラ、米国)

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