フィリピン陸運局、軽自動車の違法輸入取り締まりを強化

(フィリピン)

マニラ発

2026年01月21日

フィリピン陸運局(LTO)は、違法に輸入された「軽自動車(注)」の登録を拒否するなど、取り締まりを強化している。1月9日付のフィリピン国営通信社(PNA)ほか、地元各紙が報じた。自動車業界団体のフィリピン自動車車体工業会(ABMAP)は、LTOの取り締まり強化を支持し、一貫した法執行を求めている。

ABMAPによると、違法輸入が指摘されているのは、スズキのジムニー、ハスラー、スペーシア、パレット、ワゴンR、スティングレーなどを含む日本の軽自動車だ。これらのうち、スズキ・フィリピンが正式に販売していない車両、正規の輸入ルート以外で輸入された車両が取り締まりの対象となる。フィリピンでは、共和国法第8506号に基づき、右ハンドル(RHD)車両はフィリピンの公道での走行が原則禁止されている。違法輸入されたRHD車両は、フィリピンで左ハンドル(LHD)に改造されているケースが多い。ABMAPのエドガー・マヌエル事務局長は、「メーカー基準を満たさない不適切な改造により、操舵(そうだ)性、ブレーキ、衝突安全性などが損なわれ、運転者および歩行者が危険にさらされる可能性がある」と強調した。

ABMAPは、「軽自動車は『低速、狭い道路』での走行を重視し、より厳格な交通規律を有する日本の交通状況に合わせて設計されている。トラック、バス、オートバイ、歩行者で構成される混合交通や、道路インフラの未整備が目立つフィリピンの状況とは異なる」と指摘した。ABMAPの推計によれば、過去10年間で数千台の軽自動車がフィリピンに違法に輸入されており、その多くは日本の中古車オークションで調達されている。これらの車両は、1台当たり30万~60万ペソ(約78万~156万円、1ペソ=約2.6円)の関税および消費税の支払いを逃れているとされている。なお、自動車産業はフィリピンGDPの1.5~2%を占め、全国で25万~30万人の雇用を支えている。

再生車両の取り締まり強化も

ABMAPは、再生車両や不当申告車両についても懸念を示した。フィリピンでは、中古車両の輸入が原則禁止されている(ジェトロ貿易・投資相談Q&A参照)ため、一部の車両は分解した上で「中古部品」として輸入され、その後に再組み立て、登録されるケースが見られる。LTOは安全性と法規制の観点から、再生車両に対する取り締まりを強化している。

(注)日本国内市場向けに販売されている軽自動車。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

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