ジェトロ、浜松市でカンボジアの最新投資動向と市場可能性を解説するセミナーを開催
(日本、カンボジア)
浜松発
2025年12月15日
ジェトロは12月1日、静岡県国際経済振興会(SIBA)との共催で、カンボジアセミナーを浜松市で開催した。周辺国より賃金が安く、インフラ整備や投資環境の改善が進むカンボジアは、生産拠点の多角化を進める日系製造業の新たな進出先や、日本商品の輸出先として注目されており、県内企業や金融機関など約30人が参加した。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
まず、ジェトロ・プノンペン事務所の若林康平所長が登壇し、カンボジア経済の特徴として、比較的高い水準のGDP成長率を継続していることや、米ドル建て取引が広く行われることによる為替リスクの低さなどを紹介した。また、日系企業の進出状況や現地の投資奨励制度、経済特区の現状を解説するとともに、成功する日系企業は、低賃金をメリットとして進出するのではなく、長期視点で、現地人材の育成に取り組んでいる点を強調した。
次に、荒沢(本社:静岡県浜松市)の専務取締役で、アラサワ・カンボジア〔ARASAWA(CAMBODIA)〕社長の荒澤誠太郎氏が、自社のカンボジアでの事業展開の経験を紹介した。荒澤氏は、中国では若者の製造業離れが進んでおり、将来的な人材不足が懸念されると説明。一方、カンボジアは若年人口が多く、労働力の供給が安定しているため、製造業の生産拠点分散の有力な候補地になっていると指摘した。中国で蓄積した熟練技術と、カンボジアの若手の労働力を組み合わせ、段階的に生産機能を移管することで、競争力向上とリスク分散を実現していると述べた。
続いて、シーツ(S.E.A.T.S)(本社:カンボジア・プノンペン市)の峯島浩輔CEO(最高経営責任者)が、所得格差などにより、ニーズが多様化するカンボジア食品市場の特徴を紹介した。カンボジアでは、米国アマゾンのようなECプラットフォーマーが存在せず、一般消費者はSNSを活用した情報収集や事業者との直接対話を通じて意思決定し購買することが主流であり、迅速なレスポンスが重要になると語った。
食品のマーケットトレンドを説明する峯島氏(ジェトロ撮影)
最後にカムアップ(CAMUP)(本社:静岡県浜松市)代表取締役の加藤顕生氏が、カンボジア人材の特性として、採用コストがASEAN域内でも低水準である一方、教育水準は向上を続け、都市部の優秀な人材は先進国の水準に迫っていると説明した。複数言語を使いこなす若手も多く、国内外で活躍できる人材の輩出が期待されると述べた。
セミナーには県内外から参加者が集まり、「カンボジアに関する情報をさまざまな視点から得られて進出を検討する際の参考になった」などの声が寄せられ、カンボジアビジネス情報への関心の高さがうかがえた。
(杉山希実)
(日本、カンボジア)
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