マンチェスターで日本文化イベント「ハイパー・ジャパン」を初開催、ロンドン一極集中から広がる新戦略

(英国)

ロンドン発

2025年12月10日

英国最大級の日本文化イベント「ハイパー・ジャパン」が11月14~16日の3日間、マンチェスターで開催された。同イベントがロンドン以外で実施されたのは今回が初めてとなる。3日間で来場者数は1万7,400人に達し、主催者目標の1万5,000人を上回った。出展企業は230社にのぼった。

主催者のクロス・メディア(Cross Media)が行った出口調査では、和太鼓や金継ぎなどの日本の伝統文化への関心がロンドン開催よりも高い傾向が見られた。「ロンドンでは既に浸透している『日本らしさ』が、地方都市ではより新鮮な価値として受け止められている」と分析する。来場者はマンチェスターにとどまらず、イングランド北部の広範な地域から訪れており、出展者にとっては、地方都市における消費者の需要や商品価格への反応を把握する機会となった。

今回の出展者は、マンチェスターを拠点とする企業やクリエーターに加え、ロンドン拠点からマンチェスターへの展開を目指す日本企業の参加が目立った。背景には、ロンドン市場が経済規模・人種構成・競争環境の点で特殊性が強く、企業側に「ロンドン以外の地方都市でテストマーケティングやブランド認知の場を求める」ニーズがあることに加え、マンチェスターが2021年以降、中国政府による香港国家安全維持法施行を受けて英国政府が新たに発給した特別ビザ「British National(Overseas)ビザ」による香港からの移住先として主要な選択肢の1つとなり、日本の商品や文化を受け入れやすいコミュニティが形成されていることも挙げられる。

一方、2025年夏にロンドンで実施されたハイパー・ジャパンでは、来場者が約5万3,000人規模に達し、ロンドンが日本コンテンツにおけるBtoC展開の中核であり続ける構図は変わらない。

クロス・メディアは、本イベント開催をはじめとして英国・欧州地域での日本企業の商品販売やプロモーション支援を行う経験から、英国市場でのBtoC展開を拡大していくためには、「地域特性を踏まえながら継続的に消費者と接点を持ち続け、急速に変化する消費者ニーズを的確に捉えることが鍵となる」と指摘している。

写真 イベントの様子(ジェトロ撮影)

イベントの様子(ジェトロ撮影)

(小林慶)

(英国)

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