IMF経済改革プログラムの第5・6回レビュー完了へ、気候変動対応の支援も進展

(エジプト)

カイロ発

2025年12月25日

IMFは12月23日、エジプトへの拡大信用供与措置(Extended Fund Facility、EFF)の第5回・第6回レビューおよび強靭(きょうじん)性・持続可能性ファシリティー〔Resilience and Sustainability Facility、RSF(注)〕の第1回レビューの完了に向けて事務レベル合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

IMFのエジプトに対するEFFは、2022年12月に46カ月間で約30億ドルのパッケージとして発表され、2024年3月に総額80億ドルへの拡大が承認された(2024年4月5日記事参照)。第4回~第8回のレビューについては、1回のレビュー完了ごとにエジプトに対して約13億ドルの融資が実施されるとされている。RSFについても、2022年12月に支援が決定されており、支援総額は10億SDR(特別引出権、約13億7,000万ドル)だ。RSFの詳細はEFFのレビューの中で協議されるとされていたが、今回のEFFレビューで進展がみられた。

IMFは、厳しい国際情勢にもかかわらずエジプト経済は力強く成長していると評価し、非石油製造業、運輸、金融、観光などの分野が経済成長を支えていると分析した。国際収支についても著しい改善がみられ、郷里送金や観光収入が堅調に推移し、非石油製品の輸出が大きな伸びを示したとした。財政運営については堅調としながらも、GDP比の税収は12.2%と国際的には低水準で、公的債務の削減に向けさらなる改革が必要と指摘した。また、より持続可能な経済モデルへの移行に向けては、民間主導経済に向けた改革の加速が不可欠で、国営企業の活動拡大を避け公平な競争環境を確保すべきだとした。

(注)将来的な国際収支の安定性への脅威となり得る、気候変動関連リスク軽減のための改革を実施する国に対して、低コストで提供される長期融資。

(塩川裕子)

(エジプト)

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