労働移民要件を厳格化、給与中央値の9割を要件に提案

(スウェーデン)

ロンドン発

2025年12月24日

スウェーデン政府は12月11日、外国人労働者の適正な受け入れおよび労働関連犯罪の防止に向けて、労働移民要件を厳格化する法案を提出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

本法案は労働移民の要件を厳格化することで、給与ダンピング(注1)などの犯罪を抑止すると同時に、高度技能を有する外国人労働者に関する規制の改善を図るもの。施行日は2026年6月1日が提案されている。

本法案の柱は、労働移民が公正な条件の下で就労できるよう、就労許可における給与要件を、従来の給与中央値の80%相当から90%相当に引き上げることである。ただし、特定の専門職グループについては、免除の必要性が特に高い場合、給与要件を免除することができる。

政府はこのほか、本法案で次の点を提案している。

  • 労働移民要件の悪用が見られる職種では、就労許可の付与対象から完全に除外する。除外対象となる職種は、政府が決定する。
  • 法的確実性の強化および悪質な雇用主の起訴を促進するため、「外国人労働者の搾取」および「就労許可証の売買」という2つの行為を新たに犯罪として認定する。
  • 雇用主が過去に制裁を受けている場合や特定の犯罪の疑いがある場合、就労許可が拒否される可能性があることを明確化する。
  • スウェーデンにおける居住権または就労権を持たない外国人を雇用した場合、雇用主に課す特別手数料を倍増する。
  • スウェーデンが必要とする高度な技能を持つ外国人労働者の、EUブルーカード(注2)および季節労働許可証の有効期間を延長し、居住許可申請の機会を拡大する。

(注1)業界の標準を大幅に下回る賃金を支払う行為を指し、多くの場合は外国人労働者を対象として行われる。

(注2)高度な技能を持つEU域外の人材の受け入れを目的とする就労許可証。詳細は「スウェーデン事業拠点設立ガイドブック」を参照。

(バリオ純枝、篠崎美佐)

(スウェーデン)

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