アマゾン、インドで350億ドルの新規投資計画を発表
(インド)
ニューデリー発
2025年12月25日
米国のアマゾンは12月10日、2030年までにインド国内で新たに350億ドルの投資を行うと発表した。同社によるインドへの累積投資額は既に約400億ドルに達しており、今回の追加投資分を含めるとインドにおける最大の外国投資企業となるという。新規投資を通じた事業拡大に加え、デジタル化、輸出促進、雇用創出の実現も図る。
デジタル化の一環として、販売企業を中心とした零細・中小企業1,500万社への人工知能(AI)ツール導入、マーケットプレイス上のチャット機能や多言語化を通じた消費者の購買体験の向上、学生400万人へのAI教育提供などを行い、インドの国家ビジョン「AI for All(すべての人のためのAI)」に貢献するとしている。輸出促進に当たっては、Eコマースの輸出額としてこれまでの累計200億ドルから、2030年までに4倍の800億ドルを目指すとした。
また、アマゾンは今回の発表に際して、同社がインド国内の物流、テクノロジー、小売り、サプライチェーン全体で直接・間接的に約280万人の雇用創出に貢献してきたと強調した。この数字は、2030年に累計380万人に達する見込みとも述べた。この背景には、アマゾンが世界規模の人員整理の一環で、2023年5月と2025年10月にインド国内でもそれぞれ500人、800~1,000人を解雇したと報じられたことを受け(「タイムズ・オブ・インディア」12月15日ほか)、同社による国内雇用創出への貢献をあらためてアピールする狙いがあったとみられる。
アマゾンは現在、インド国内のEコマース業界において、米ウォルマート傘下のフリップカート(Flipkart)、インド地場のミーショ(Meesho)と並ぶ3大プレーヤーの1つだ。地場コンサルティング会社アナロックとETリテールが2025年2月に共同で発表したレポートによると、これら3社はインドのEコマース市場(BtoC)の約83%を占める。インターネット普及率上昇やスマートフォン用アプリの利便性向上に伴い、同市場規模は2024年の1,250億ドルから2035年には5,500億ドルへ拡大する見込みだ。
なお、インド国内の都市部では、注文から約10分以内の即時宅配を行うクイックコマースが急速に伸びており、この分野の牽引役はブリンキット(Blinkit)やゼプト(Zepto)などのインド地場企業だ。後発組となったアマゾンは、2025年から「アマゾン・ナウ(Amazon Now)」として同分野に参入し、ベンガルール、デリー、ムンバイで順次サービス展開を開始している。
(リティカ・メータ、広木拓)
(インド)
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