チリ大統領選の決選投票、世論調査でカスト氏がリードを維持、不法移民に対する強硬な発言で波紋も
(チリ、ペルー)
サンティアゴ発
2025年12月02日
民間調査会社カデムが11月29日に公表した最新の世論調査によると、12月14日に行われるチリ大統領選挙決選投票の支持率は、ホセ・アントニオ・カスト氏が46%、ジャネット・ハラ氏が34%、20%が「投票しない」「未定」「無回答」だった。前回調査時と同様にカスト氏がリードを維持した。また、共和党支持者の95%がカスト氏、共産党支持者の93%がハラ氏を支持すると回答した。一方、支持を表明しない層では73%が両候補を支持せず、カスト氏支持は17%、ハラ氏支持は10%にとどまった。次期大統領の予想としては、62%がカスト氏の当選を見込み、ハラ氏は25%だった。
カスト氏支持の主な理由は、治安、移民、経済政策(57%)、ボリッチ路線の継続阻止(28%)などだ。一方、ハラ氏支持の主な理由は、思想、価値観、政治的信念の近さ(44%)、最低賃金や社会的権利の重視(37%)などだ。
こうした優勢が続く状況を背景に、カスト氏は11月28日、SNSに「(不法移民は)103日以内に自主的に国を離れなければ、当選後は追放する」と語る動画を投稿し、治安と移民管理を選挙戦の柱とする姿勢をあらためて強調した。この発言を受け、ペルー政府は不法移民流入を見越し、同日、チリ国境地域に60日間の非常事態を宣言した。
事態を収拾すべく、チリ、ペルー両政府は移民協力のための2国間委員会を設置し、12月1日に、チリのアルベルト・バン・クラベレン外相とペルーのウーゴ・デ・セラ外相が参加して初回のオンライン会合が行われた。会合において両国は、共通の現状認識に基づいて協力する意思を示し、領事・移民分野に関する作業部会の設置や、両国警察による共同パトロールの実施や情報交換の強化などを決定した。両国は次回の委員会会合を12月19日に開催し、今回の合意事項のフォローアップを行うとしている。
(橋爪優太)
(チリ、ペルー)
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