インド政府、研究開発のための新たな基金創設を発表
(インド)
ニューデリー発
2025年12月08日
インド政府は11月3日、研究開発(R&D)を促進するための新しい研究開発・イノベーション(RDI)スキーム基金の創設を発表した。経済安全保障や国家戦略などに資するイノベーションへの民間企業による参画や、成熟度の高い技術の迅速な市場活用を促すため、新たに1兆ルピー(約1兆7,000億ルピー、1ルピー=約1.7円)規模の基金とした。この取り組みは、インド独立100周年を迎える2047年までに、インドの先進国入りを目指す国家ビジョン「Viksit Bharat@2047」の一環として、同日に首都ニューデリーで開かれた科学技術に係る国際会議ESTIC-2025の開幕式で宣言された。
発表によると、RDIスキーム基金は融資対象となった民間企業に対して、研究開発資金を長期的に低金利または無利子で提供する。また、事業拡大を図るための成長資金や、高リスクのプロジェクトにも融資できるリスク資本として同基金を活用することも念頭に置くとしている。
インド政府広報局(PIB)の11月4日付発表によると、インド国内における研究開発費は2010年度(2010年4月~2011年3月)に6,019億6,000万ルピーだったところ、2020年度には1兆2,700億ルピーへと2倍に増加した。研究開発費の支出主体別内訳(2020年度)をみると、中央政府が43.7%と最大で、次いで民間部門が36.4%、高等教育部門が8.8%、州政府部門が6.7%などとなっている。
なお、直近5年間のインド国内の特許出願件数は増加傾向だ。商工省の統計によれば、2020年度は5万8,503件だった特許出願件数が2024年度には11万372件となり、うち出願人がインド人である比率も同期間中に約4割から約6割に伸びた。米国科学委員会「米国科学技術の現状(2024年版)」によれば、インドは科学技術分野の博士号授与数(2020年)で中国、米国、英国に次ぐ世界4位(約1万7,000件)となっている。
(リティカ・メータ、広木拓)
(インド)
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