ドイツAIのブラック・フォレスト・ラボ、シリーズBで3億ドル調達、評価額32.5億ドルに
(ドイツ)
ベルリン発
2025年12月11日
ドイツの生成AI(人工知能)スタートアップのブラック・フォレスト・ラボは12月1日、シリーズBラウンド(注1)で3億ドルを調達したと発表した。累計調達額は4億5,000万ドル超となり、資金調達後の評価額は32億5,000万ドルとなった。
同社は2024年に設立され、「Stable Diffusion」(注2)の開発に関わった研究者らが創業した。現在、ドイツ南西部のフライブルクと米国のサンフランシスコに拠点を置き、約50名のチームで事業を展開している。
主力製品は画像生成AIモデル「Flux」シリーズ。Fluxは開発者コミュニティで数千万回ダウンロードされ、フォーチュン500企業の10社以上との提携を実現しており、アドビやドイツテレコム、メタなど世界的企業のサービスにも統合されている。
今回の調達資金により、研究開発、人材採用、インフラ整備を推進。高性能かつオープンなシステムの需要拡大に伴い、ビジュアルインテリジェンスの最先端を拓く研究を拡大する。また同社は、本投資が最先端AI研究をグローバル規模で提供するという同社のミッションにおける次なるステップを示すとともに、独立した研究所が、世界をリードするモデル開発企業と肩を並べて最先端の研究を行えることを示したと指摘。同社最高経営責任者(CEO)で共同創業者のロビン・ロムバッハ氏は「視覚的AIは印象的な画像生成から真の理解へと進化しており、市場は急速に成長している」とコメントした。
ドイツ国内メディアも本件を大きく報道。経済紙「ハンデルスブラット」は「ドイツで今最も価値のあるAI企業に」と題し評価額と急成長を強調。ロムバッハCEOの「グーグルの競合相手になることに成功した」というコメントと共に、創業から2年足らずで現在世界最高水準のAI画像生成モデルを提供しており、グーグルに正面から挑んでいると伝えた。同紙はまた、同社台頭の要因として、(1)研究により基盤となる技術を自ら開発したこと、(2)何千もの画像を生成する必要がある企業にとっては1画像あたりの価格が決定的な要素となるところ、同社は効率性が高く価格を抑えられていること、(3)各メンバーの得意分野を理解し役割分担が明確で、チームが機能していることの3点を挙げた(「ハンデルスブラット」12月2日、12月5日)。
(注1)スタートアップにおいて、ベンチャーキャピタルなどが出資する段階。
(注2)テキスト入力に基づいて画像を生成するオープンソースのAIモデル。
(中山裕貴)
(ドイツ)
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