2026年の最低賃金、前年比11%引き上げで合意

(ハンガリー)

ブダペスト発

2025年12月10日

ハンガリーの企業(雇用者)側代表と被雇用者側代表は11月27日、2026年の最低賃金引き上げに関して合意した。ハンガリー政府は12月4日、政府を含む3者の各代表が正式に協定文書に署名したと発表した(プレスリリース、ハンガリー語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この合意により、ハンガリーの月額最低賃金は、現行の29万800フォリント(約13万6,676円、1フォリント=約0.47円)から、2026年1月1日に11%増の32万2,800フォリントに引き上げられる。熟練労働者(高校卒業以上の資格者)の最低賃金も現行の34万8,800フォリントから、7%増の37万3,200フォリントになる。

2024年11月に、2025年以降3年間の最低賃金引き上げに関する協定(2024年12月5日記事参照)が署名されたが、経済指標が政府の予測を下回ったため、協定に盛り込まれた再交渉条項が発動され、交渉が再開された。今回合意された賃金引き上げ率は、2024年に署名された3年間の賃金協定で合意された13%より2ポイント低い。今年の政府試算では、GDP成長率が1年前に予測された3.4%より低い0.5~1%程度にとどまり、インフレ率も1年前の予測の3.2%から4.7%となったことが、協定再交渉の前提条件となった。

雇用者団体代表のペルルシ・ラースロー氏は、「この合意は経済を透明化し、競争力を高めるという点でも重要だ」と述べつつ、「この最低賃金引き上げによって、困難な状況に陥る企業は存在するだろうが、我々の調査によれば、大多数の企業にとっては不可能なことではない」と付け加えた。なお、雇用者団体が要望した社会貢献税の税率(現行13%)引き下げについては、今回政府は受け入れなかった。

労働組合同盟のメーサーロッシュ・メリンダ会長は、現在の経済状況を考慮すれば、実現可能な成功裡の合意だと評価した。

ナジ・マールトン国家経済相は11月27日の国会経済委員会で「今回の合意により、2027年には最低賃金が1,000ユーロに達し、2028年には平均賃金が100万フォリントに達する可能性がある」と述べた。

オルバーン・ビクトル首相は、協定文書の署名式で「雇用者と労働者が合意に達したことを祝福する。今回の合意内容は、15年間にわたって内閣の指針を導いてきた『労働に基づく社会の構築』という構想から逸脱するものではない」と強調した。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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