オランダへの進出継続、在蘭日本商工会議所の会員企業400社突破

(オランダ)

アムステルダム発

2025年12月17日

進出企業の増加を背景に、オランダの在蘭日本商工会議所(以下、JCC)の会員企業数が2025年12月時点で400社を超えたことが明らかとなった。JCCは1976年の設立以来、セミナーやネットワーキングイベントの実施、在オランダ日本大使館やオランダ政府機関との連携を通じてオランダにおける日系企業の円滑な活動を支援し、日本・オランダ両国の経済関係強化に貢献している。JCCの会員企業数は、欧州においてデュッセルドルフ日本商工会議所の500社強に次ぐ第2位の規模となっている。

外務省の海外進出日系企業拠点数調査によると、2024年10月時点でオランダには701の日本企業拠点が存在している。また、同調査の過去のデータを参照すると、過去10年間でオランダにおける日本企業の拠点数は着実に増加しており、2014年から2024年までの間に2倍近くに拡大したことが確認できる。

このような在オランダ日系企業数の増加は、同国のビジネス環境が日系企業から評価されていることを反映している。JCCが2025年5月に会員企業を対象に実施したアンケート調査では、オランダの事業環境に関する項目において「英語力の高い労働力」「地理的利便性」「輸送・物流環境」「税制の優遇」「安定した政治経済」などが評価されており、多面的な強みが企業の進出を後押ししていることが分かる。

こうした流れの中、大日本印刷(DNP)は2025年9月、オランダ南部のハイテクキャンパス・アイントホーフェン(注)に海外初の研究開発拠点を開設外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同拠点では、次世代半導体技術として注目される「光電融合(Co-Packaged Optics)」の研究開発をオランダ応用科学研究機構(TNO)およびPhotonic Integration Technology Centre(PITC)と共同で推進しており、同社の進出はオランダのイノベーションエコシステムを活用したものだ。

DNPに加え、クボタやSBIホールディングスなど、日本を代表する製造業・金融業各社も2025年にオランダに新規に拠点を設置している。クボタは、欧州をはじめ中東・アフリカのEMEA地域を対象とした事業運営機能を備えた新欧州本社をニウフェンネップに開設し、研究開発や雇用拡大を通じて地域連携を強化した。また、SBIホールディングスは、アムステルダムに「SBI Securities Europe B.V.」を設立し、欧州経済領域(EEA)を対象に投資サービスの提供を開始した。

こうした日系企業の動向は、オランダが進出国としての魅力を一層高めていることを示している。今後も、事業環境の優位性や研究開発機能の強化などの観点から、日系企業にとって欧州における重要な拠点としてのオランダの地位は維持・向上していくとみられる。

(注)オランダ南部に位置する欧州有数の研究開発拠点。半導体、フォトニクス、人工知能(AI)などの先端技術分野で約300社の企業や研究機関が集積するイノベーションハブ。

(梅田健太郎)

(オランダ)

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