ホンジュラス大統領選挙、約3週間の混乱の末、アスフラ氏が当選

(ホンジュラス)

調査部米州課

2025年12月26日

ホンジュラスの国家選挙委員会(CNE)は12月24日、11月30日に実施された大統領選挙の結果、右派・国民党のナスリー・アスフラ氏が当選したと発表した。CNEの発表によると、開票率98.27%の段階でアスフラ氏は得票率40.3%の約148万票を獲得。2位は右派・自由党のサルバドール・ナスララ氏が39.5%で僅差となり、3位は現与党である左派・自由復興党(Libre)のリクシー・モンカダ氏で得票率は19.2%だった。ホンジュラスの大統領選挙制度では、得票数が多い候補が当選となるため、決選投票などはない。

今回の選挙では、開票・集計状況を伝えるCNEのウェブサイトが何度もシステム障害を起こしたことや、2,000件以上の投票記録に不備が発覚したことなどから、集計期間中に選挙の透明性や正当性に対して各政党やCNEの委員からも疑問の声が上がっていた。一部では集計作業の妨害行為が行われるなど、混乱が大きくなり、選挙の監督を行っていた米州機構(OAS)の選挙監視団が、妨害をやめるよう声明を発表する事態に発展した。12月18日から不備があった投票の再集計が実施され、その様子はインターネット上でライブ配信された。

OASは12月24日のプレスリリースで、「決定的な不正は確認されておらず、選挙結果は市民が投票で示した意思を反映している」と選挙結果を支持した。一方で、アスフラ氏の対立候補だったナスララ氏は、「真実が反映されていない」として選挙結果を認めない姿勢を示しており、依然として混乱は続いている。

アスフラ氏は、市議会議員や国会議員などを経験した後、2014~2022年に首都テグシガルパを含む中央地区の市長を務めた。2021年には大統領選挙にも立候補したものの、当選しなかった。2026年1月27日に新政権が発足し、2030年1月27日まで続く。アスフラ氏は自身のSNSで「政権運営の準備ができている」と述べた。

海外からは、米国のマルコ・ルビオ国務長官がSNS上で祝意を伝え、地域の発展や安全保障に向けて協力する意向を示した。アルゼンチン、パラグアイ、コスタリカなど中南米諸国も共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、貿易、安全保障、移民政策、民主主義の維持について協力を期待するとした。中国外務省の林剣報道官は12月25日の記者会見で、「ホンジュラスと協力し、2国間関係の継続的な発展を推進する用意がある」としつつ、「『一つの中国』原則に基づくものだ」と述べた。アスフラ氏は選挙戦の中で、中国との国交を断絶し、台湾との国交を樹立する可能性を示していた(「トゥ・ノタ」紙12月25日付)。

(加藤遥平)

(ホンジュラス)

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