ルーマニアの投資・欧州プロジェクト相、日本企業に投資呼びかけ

(ルーマニア、日本、ウクライナ)

ブカレスト発

2025年12月19日

ルーマニアのドラゴシュ・プスラル投資・欧州プロジェクト相は125日、駐ルーマニア日本大使公邸において在ルーマニア日系企業約20社に対して講演を行った。ルーマニアがEUへのゲートウェイであり、ウクライナ復興の結節点としての役割が増していることを強調した上で、投資機会について説明した。ルーマニアは財政健全化を進めながら公共投資を拡大しており、日本企業にとって事業機会が広がるとの展望を示した。

写真 ドラゴシュ・プスラル投資・欧州プロジェクト相による講演の様子(ジェトロ撮影)

ドラゴシュ・プスラル投資・欧州プロジェクト相による講演の様子(ジェトロ撮影)

プスラル氏は、国家の財政状況について、財政赤字の是正が進み、EUの過剰財政赤字手続き(EDP)では前進がみられたと説明した。同時に、EUの「国家復興レジリエンス計画(NRRP)」や結束基金を活用した事業が全国で進み、教育、医療、エネルギー、道路、鉄道など多様な分野でプロジェクトが進行していると述べた。過去の過剰契約を整理したことで資金執行の確実性が高まったとした。また、今後は従来型の補助金申請に加え、金融機関を通じて投資額の一部が戻る仕組みを拡大するなど、民間投資の促進も図る方針を示した。

加えて、ウクライナおよびモルドバに隣接する地理的条件を生かし、復興需要の取り込みが可能であるとし、モルドバのEU加盟支援の重要性を指摘した。

質疑応答では、日本企業からウクライナ向け事業への日本企業の関与の可能性が問われ、プスラル氏は、道路やエネルギーなどのインフラ整備を例に、ルーマニアにおいて資材の供給体制や人材確保などの基盤を整えるようなかたちでの参画が有効と回答。国内の人材や施工能力も活用でき、復興需要に対応しやすい環境が整うとの見解を示した。

そのほか、ルーマニア東部の主要都市を結ぶA7モルドバ高速道路をはじめとする高速道路や鉄道などの大型インフラ事業、官民連携プロジェクト、EU資金の利用方法などが取り上げられ、幅広い分野で日本企業が参入可能との認識が示された。

(太田響子)

(ルーマニア、日本、ウクライナ)

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