ハンガリー、ロシア・ウクライナ戦争終結後に備え、対ロシア経済関係を強化

(ハンガリー、ロシア、ウクライナ)

ブダペスト発

2025年12月18日

中・東欧の国々、特にポーランドがウクライナの復興に向けて積極的に準備を進める中、ハンガリー政府はロシア・ウクライナ戦争終結後に備え、ロシアとの経済関係強化に動いている。

ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相は12月9日、シーヤールトー・ペーテル外務貿易相と34社のハンガリー企業経営者を伴ったビジネス代表団を率いてモスクワを訪問した。訪問中、計240件のビジネス協議が行われた。シーヤールトー外務貿易相はモスクワ訪問中、ハンガリー・ロシアビジネスフォーラムの開会式で、「平和がもたらす新しい世界経済の時代に向けて、可能な限り最善の準備を整えて最良のスタートポジションを確保し、そこから最大限の成果を得たい」と述べ、ウクライナでの戦争終結後、ハンガリーがロシアとの経済関係において、より有利な立場に立つことを目指す意向であることを示した。

またシーヤールトー外務貿易相は、ハンガリーの天然ガス輸入の大部分を担う天然ガスパイプライン「トルコストリーム」の運営会社であるサウス・ストリーム・トランスポート(South Stream Transport)が、本社をオランダからハンガリー・ブダペストへ移転することを発表した。オルバーン首相が11月に米国のドナルド・トランプ大統領と協議を行い、ロシア産エネルギーに対する制裁対象から、ハンガリーを免除することを獲得したことが背景にある。

報道によると、ハンガリーのエネルギー大手MOLは、上記エネルギー制裁の免除を利用し、中・東欧地域で複数の買収を計画している。同社は、ロシア石油大手ルクオイルのルーマニアにおけるガソリンスタンドネットワークの買収に関心を示し、セルビアの精油所ナフトナ・インダストリヤ・スルビエ(NIS)のロシア所有株式(11.3%)の買収についても交渉を進めている。現在、NISの過半数(50%以上)の株式は、ロシア石油大手のガスプロム・ネフチおよびガスプロムの関連企業が所有している。

ハンガリーは、ロシアとの経済関係強化には関心を示す一方で、ウクライナの復興支援に対する関心は、現時点では必ずしも高くない。毎年11月にワルシャワで開催されるウクライナ復興をテーマとする国際展示会&会議「リビルド・ウクライナ」に、2024年はハンガリー企業が1社も参加しなかった。2025年も8社で、ウクライナと国境を接する中・東欧諸国の中では最も少ない参加数にとどまった。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、ロシア、ウクライナ)

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