トヨタ、北米の研究開発能力強化へ向けてアリゾナ州のテスト施設の拡充を発表

(米国)

ロサンゼルス発

2025年12月16日

トヨタ自動車の北米統括会社トヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMNA、本社:テキサス州プレイノ)は12月10日、米国アリゾナ州におけるテスト用施設・設備の拡充を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。既存の10マイル(約16キロメートル、1マイル=約1.6キロメートル)のオーバルコース(楕円形の形状をしたサーキット)の内側に新たに5.5マイルのコースが新設され、車両の累計走行距離、発進・停止、高速走行テストなどに利用される。また、既存のコースで先進運転支援システムのテストのための改修がなされるとともに、車両効率や燃費を評価するための走路も整備された。大規模なオフロード(舗装されていない山道、砂利道などの悪路)の試験施設も新設され、ボディ・オン・フレーム(注)とオフロード対応車両のための開発エリアを拡大する。さらに、グローバル規制に対応するために、走行時の騒音レベルをテストするエリアも新設する。

1993年に設立して以降、北米市場向けに50車種以上のトヨタ車およびレクサス車の試験を同施設で実施してきた。州都フェニックス市から北西約60マイルに位置する同施設は約1万1,650エーカー(約47平方キロメートル)の広さを誇り、77マイルの試験路を備えているが、2025年7月に5,000万ドル以上を投じ、新たな施設建設を着工したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、今回の拡充はその一環とされる。同州のケイティ・ホッブス知事(民主党)は着工発表時に、「アリゾナ州にイノベーションと機会をもたらすトヨタの取り組みに感謝する。この州への新たな投資は経済成長を促進し、アリゾナを自動車技術の最前線に押し上げるだろう」と述べていた。

2021年以降、同施設の他企業へのレンタルも行っている。TMNAの調査・開発担当副社長のステファン・ヤング氏は同施設について、「当社の研究開発チームにとって重要な資産であり、車両開発ニーズが変化・進化し、新しい技術が登場するにつれて、今後も継続的な投資を計画している。この施設を業界に開放することで、今回の拡充コストを相殺することが可能であり、今回の取り組みが他の企業をこの地域に誘致する上でも重要」とコメントしている。

(注)頑丈なはしご型フレーム(ラダーフレーム)にエンジンやサスペンションを取り付け、その上に車のボディ(車体)を別々に載せて固定する構造。

(堀永卓弘)

(米国)

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