世界銀行など、アフリカでのワクチン製造や予防接種普及に20億ドル支援
(アフリカ、エチオピア、ナイジェリア、モロッコ、ケニア)
調査部中東アフリカ課
2025年12月16日
世界銀行は12月6日、GAVIワクチンアライアンス(途上国のワクチン普及を支援する国際組織)と協力し、今後5年間で20億ドルを動員し、予防接種やヘルスケアシステムへの強化とともに、アフリカでのワクチン製造を支援すると発表
した。
世界銀行のアジェイ・バンガ総裁は、この取り組みは「2030年までに15億人に質の高い保健サービスを提供するという目標達成に向けた重要な一歩だ」とし、加えて、「雇用を創出し、経済成長を促進し、保健セクター全体にわたる長期的な強靭(きょうじん)性を構築する」と述べた。なお、直近の18カ月で、世界銀行グループと協力機関は、3億7,500万人以上の人々に医療支援を提供したほか、医療従事者、現地のサプライチェーン、関連産業全体で雇用を創出するなどの取り組みも進行中だという。
さらに、世界銀行グループとGAVIは、アフリカ連合(AU)が2040年までにアフリカで利用されるワクチンの6割を域内で生産するという目標も支援するとした。
GAVIは2025年6月にも、国際開発金融機関(MDB)および開発金融機関との45億ドルの補完的融資・資金拠出も発表
した。GAVIはこれまで、低所得国などでの保健システムを支援し、エボラ、コレラ、髄膜炎菌、黄熱病のワクチンの備蓄に資金を提供しており、2000年の設立以来、12億人以上の予防接種を支援し、低所得国の死亡率低下に貢献したという。
アフリカ諸国も保健分野のロードマップ発表
また、12月6日に東京で開催されたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)ハイレベルフォーラムにおいて、参加国15カ国が「国別保健コンパクト:国主導の実践的なロードマップ」を発表
した。
発表されたアフリカ諸国の主な取り組みについては次のとおり。
- シエラレオネ:国民が自宅から5キロメートル以内で質の高い初期医療にアクセスするため300施設を建設し、1,800の施設に太陽光発電とデジタル接続を整備。
- エチオピア:臨床ケアと労働力管理の支援のため、少なくとも40%の初期医療施設にデジタルツールを導入。
- ケニア:5年間で公衆衛生分野への支出をGDP比5%にまで倍増し、社会保険の対象を26%から85%に拡大して、脆弱(ぜいじゃく)層の医療費に補助金を提供。
- モロッコ:国民皆保険の対象を新たに2,200万人拡大。
- ナイジェリア:現地でのワクチンや医薬品の生産、診断機能の確立、保健関連技術開発のため製薬など専門家1万人に研修を実施、専門家を集約した組織の設立、税制優遇措置の適用など。
(井澤壌士)
(アフリカ、エチオピア、ナイジェリア、モロッコ、ケニア)
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