自動車業界の価格行為コンプライアンス指針のパブコメ開始
(中国)
上海発
2025年12月18日
中国の国家市場監督管理総局は12月12日、「自動車業界の価格行為コンプライアンス指針
」の草案(以下、指針案)を発表し、意見公募(パブリックコメント)を始めた。自動車業界の不当な価格行為の防止、価格秩序と公正な競争環境の維持、消費者と事業者の権益保護を目的としている。パブコメの募集期間は12月22日まで。
指針案は、中国国内における自動車生産および新車販売に伴う価格行為を対象に、価格設定、販売、プロモーションなどに関するコンプライアンス上の要求を明確化したもの。内容は、(1)総則、(2)自動車製造企業の価格行為に関する規定、(3)自動車販売企業の価格行為に関する要求、(4)内部コンプライアンス管理制度の整備、(5)付則の全5章28条で構成されている。総則では、指針の制定目的、適用範囲、価格行為の基本原則を示し、業界団体による自律的な取り組みの促進についても言及した。
自動車製造企業に対しては、生産コストを基礎とし、市場の需給状況を踏まえた価格戦略の構築を求め、完成車販売や金融サービスなどを含むサプライチェーン全体での価格行為を管理し、規範化を図るとした。加えて、完成車メーカー間および部品メーカー間における価格カルテルに該当する協調・合意は、重大な法的リスクがあるとして明確に警告した。
さらに、完成車メーカーによる販売奨励金は、その内容を明確にした上で、契約などによる販売店との事前の合意を求めるとともに、販売店の自主的な価格決定権を尊重すべきと定めた。
不当な価格設定については、在庫処分を除き、生産コストを下回る水準に設定することを競争相手の排除や市場独占を目的とした価格行為として、重大な法的リスクがあるとした。具体的には、高規格・高等級品を低規格・低等級品として扱うことで実質的に価格を引き下げる行為や、割引や補助金などにより実際の出荷価格を生産コスト以下にする行為が挙げられている。
自動車販売企業に対しては、車両の販売価格や付帯条件の明示を義務付けた。また、虚偽表示や誤解を招く価格表示、取引条件を十分に告知しない販売促進行為などについても、法的リスクが高い行為とした。さらに、販売に関連するサービス料金については、実際のサービス提供内容に応じた適正請求を求め、料金のみ徴収したサービス不提供や、同一サービスへの重複請求などを問題視しているとした。
(伊藤彩菜)
(中国)
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