神戸と福井で欧州大手アパレル企業と商談会実施、環境配慮素材や日本のモノづくりに高い関心

(日本、スウェーデン、英国、フランス、イタリア)

神戸発

2025年12月18日

ジェトロは12月1~5日、欧州の大手アパレルブランドのバイヤー5社を招聘(しょうへい)し、神戸と福井で産地視察、商談会を行った。参加バイヤーは商談会や産地視察を通じて、日本の生産者の手作業での丁寧なモノづくりの文化的背景や、環境配慮製品に高い関心を示した。

今回訪日したのは、スウェーデンのアクネ・ステュディオズ(Acne Studios) 、フランスのバレンシアガ(BALENCIAGA)、イタリアのアイマックス(IMAX、Max Mara Group)、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)、英国のERDEMの5社。12月2日には、ポリエステルやナイロンなど合成繊維織物の国内屈指の産地である福井で商談会を開催し、福井県・石川県に所在する事業者14社が参加、延べ70件の商談が行われた。12月4~5日には神戸で商談会を開催、関西圏を中心に全国から52社が参加し、2日間で延べ260件の商談が行われた。神戸での商談会では12月8日時点で見込みを含めた成約率は40%となり、成約率の高い商談会になった。

今回の商談会には、ジャガード、レース、ジャージ、デニム、シルクなど、さまざまな素材の事業者が参加し、大きな手応えをつかんだ。一方、課題として「納期が想定より短く、対応方法を検討したい」という声が多く聞かれ、欧州のラグジュアリーブランドと取引するためには、環境配慮製品の開発のほか、納期も1つの重要なポイントとなった。

写真 神戸での商談会(ジェトロ撮影)

神戸での商談会(ジェトロ撮影)

写真 神戸会場では、活発な商談が行われた(ジェトロ撮影)

神戸会場では、活発な商談が行われた(ジェトロ撮影)

兵庫県で行った産地視察では、播州織の産地である西脇市の染色や織布の事業者、播州織工業協同組合、兵庫県立工業技術センター、繊維工業技術支援センターを訪問し、片山象三西脇市長を表敬訪問した。参加バイヤーは「多くの工程が手作業で行われており、日本の職人技を感じることができた」「製造には大量の水が必要だが、国内でも厳格な水質基準を満たす処理を施したうえで最終的に河川へ還元しており、感心した」とコメントした。

写真 西脇市長表敬(ジェトロ撮影)

西脇市長表敬(ジェトロ撮影)

福井では、テキスタイルメーカー4社を訪問。生地の企画・製造、染色、縫製にいたる一連のサプライチェーンを担う製造現場、並びに織ネーム・リボンなどを手掛けるテキスタイル副資材メーカーを視察し、「繊維王国福井」と称される産地の技術力や品質の高さがアピールされた。参加バイヤーからは「日本企業が持つサステナビリティ配慮への意欲や取り組みを理解でき、今後日本企業とどのように協業するかイメージする良い機会となった」と前向きなコメントが寄せられた。

写真 福井での商談会(ジェトロ撮影)

福井での商談会(ジェトロ撮影)

欧州のアパレル業界では、SDGs(持続可能な開発目標)に配慮した素材の使用、素材製造工場の環境配慮など、徹底的なトレーサビリティが求められる。サステナビリティの現況、規制措置と対応策、認証、代替素材、リサイクルなどについては、テキスタイル・ファッション分野におけるサステナビリティ動向(対象国フランス)を参照のこと。

(長田悠作、大前由香利、野崎太輔、田中浩之、大澤知澄)

(日本、スウェーデン、英国、フランス、イタリア)

ビジネス短信 c5c299f6781c0e0e