第7回EU・アフリカ連合首脳会議、貿易・投資による雇用とバリューチェーン構築の推進を確認

(EU、アフリカ)

ブリュッセル発

2025年12月01日

EUとアフリカ連合(AU)の第7回首脳会議が11月24~25日にアンゴラで開催され、持続可能な成長、平和・安全保障・ガバナンス、多国間主義、移民・人の移動に関する協力強化を確認する共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが採択された(EU側発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますAU側発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。会議を共催した欧州理事会(EU首脳会議)のアントニオ・コスタ常任議長とAUの議長国を務めるアンゴラのジョアン・ロウレンソ大統領はともに、多国間主義が脅威にさらされる中、ルールに基づく協力関係を確認できたことは、世界に向けた力強いメッセージとなったと評価した。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、関税や輸出管理、過剰生産の流入など貿易が政治化されている中、共通の課題であるデリスキング、供給の多角化には、両大陸のパートナーシップの強化が重要性を増していると述べた。貿易関係のさらなる強化としては、アンゴラのロビト港とザンビアとコンゴ民主共和国を結ぶ野心的な鉄道・物流回廊プロジェクトにより、アフリカの重要原材料のグローバル市場への供給が加速される事例に言及。同時に、EU企業がアンゴラの農家と協力し、EU基準に適合し、輸出能力を拡大する支援を行うことで、地場の農産品の欧州への輸出拡大にも寄与していると紹介した。こうしたEU企業による投資は、前回2022年の首脳会議で発表した「グローバル・ゲートウエー」パートナーシップ(2025年7月3日付地域・分析レポート参照)に基づくもので、現地での雇用創出、バリューチェーンの構築に貢献し、投資額は2027年までの目標1,500億ユーロに対して既に1,200億ユーロに達しているとした。ただ、クリーンへの転換に関しては、2024年に世界で新規に導入されたエネルギーの90%以上は再生可能エネルギー(再エネ)である中、アフリカへの投資は2%にとどまっており、世界の太陽光発電電力の60%を供給することができるアフリカの潜在性が活用されていないと指摘。このため、2025年11月21日に南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領と「アフリカにおける再エネ導入の加速」に関し155億ユーロの投資を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)したことにも言及した。

マハムッド・アリ・ユスフAU委員会委員長は、アフリカは豊富な市場、人材、資源を有し、世界のバリューチェーンにおいて重要な役割を果たすと述べた。EUが、アフリカを重要原材料の供給地と認識するにとどまるのではなく、アフリカ大陸における鉱物資源の加工・転換プロセスへの投資を含めた公平な貿易・投資相手となることを期待すると述べた。

(薮中愛子)

(EU、アフリカ)

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