在外ドイツ企業アンケート調査、景況感改善も米国投資は低迷

(ドイツ)

ベルリン発

2025年12月01日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は11月13日、在外ドイツ企業に対するアンケート調査「秋季ワールド・ビジネス・アウトルックPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の結果を公表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。春に米国の関税政策による打撃を受けた後、世界の多くの地域で企業の景況感が明らかに好転していると総括している。

調査は2025年9月29日から10月17日にかけて実施、90カ国以上に展開するドイツ国外の会員企業約3,500社が回答した。回答企業の産業分野は鉱工業・建設業(41%)、サービス業(40%)、商業(19%)。

向こう12カ月の所在地の事業見通しが「良くなる」と答えた企業の割合は44%(前回の春季調査では38%)で、ドイツ国内企業の15%を大きく上回った。DIHKのフォルカー・トライア対外経済部長は「景気回復は脆弱(ぜいじゃく)だが、方向性は明確で成長はドイツ国外で起きている」と述べ、海外市場での成長が企業にとって重要である現状を示した。

所在地の事業状況については「良い」が40%、「満足」が45%、「悪い」が15%だった。DI値(「良い」の回答割合から「悪い」の回答割合を引いた値)は25ポイントで前回の春季調査から1ポイント下がり、ここ数年の平均値(34ポイント)を大きく下回った。地域別で「良い」の回答割合が最も高かったのは中東・北アフリカの60%、最も低い地域は中国・香港・台湾の18%だった。

米国では「良い」と回答した企業が40%で、「悪い」が16%。DI値は24ポイントで過去平均の52ポイントを大きく下回った。米国に拠点を置くドイツ企業(工業系)の多くが米国の関税対象となっている中間財の輸入に依存しており、米国の貿易・経済政策の影響を直接的・間接的に受けたと見られる。さらに、44%の企業が米国の貿易政策の悪影響を報告している。米国で追加投資を計画する企業は24%で、前年秋の37%から大幅に減少した。

今後1年間に自社所在地で投資を増やすと回答した企業は全体で29%、減らすとした企業は16%だった。中国で投資拡大を計画すると回答した企業の割合は、前述の現状評価の低さ(18%)にもかかわらず26%に達している。これは、企業が中国市場での中期的なポジションを強化し主要産業での地位を維持するとともに、中国のイノベーション力を活用して世界市場での位置づけを高めようとしているためだ。

この調査結果を受けトライア氏は、世界の貿易ルールが再編される中、ドイツと欧州は構造的課題の解決を通じて企業の競争力を高めることで、成長市場へのアクセスを勝ち取る必要があると強調した。

(打越花子)

(ドイツ)

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