業務用容器包装や梱包資材への拡大生産者責任の適用を2026年7月1日に延期
(フランス、EU)
パリ発
2025年12月11日
フランスのマチュー・ルフェーブル・エコロジー移行担当相は11月25日、「業務用容器包装、梱包(こんぽう)資材に対する拡大生産者責任(REP)制度の適用を2026年7月1日からとする」と自身のSNSで言明した。2025年11月17日付デクレ(政令)
では、同制度の施行を2026年1月1日からとしていたが、業界との調整とエコ・オーガニズム(注)の認可に時間を要することを理由に導入の延期を決めた。
REPは、汚染者負担の原則に基づき、製造業者、輸入業者、ディストリビューターなどの市場投入者が製品のライフサイクル全体に責任を負い、廃棄物の回収、再利用、リサイクルを実施するというもの。業務用容器包装、梱包資材の具体的な回収対象は、BtoBの業務用缶、ドラム缶、輸送用段ボール、大型布製バッグ、梱包用フィルム、パレット、木箱など。
市場投入者は、2026年7月1日以降、エコ・オーガニズムにエコ拠出金を支払い廃棄物の回収を委託するか、自社で回収からリサイクルまでのルートを構築するか、いずれかの方法で拡大生産者としての責任を果たす必要がある。
フランスでは、1992年から家庭用包装にREPを適用、2023年から外食産業向け業務用容器包装に適用を拡大していた。2026年以降、その他の業務用容器包装に適用拡大することで、年間700万トンの廃棄物の回収が見込まれる。業務用包装容器を対象とするエコ・オーガニズムのシテオ・プロ(CITEO PRO)は、同制度のコストを2026年に年間3億200万ユーロ、2030年までに総額約6億1,100万ユーロと見積もっている。
政府は、エコ・オーガニズムに対し、研究開発の予算割り当てや企業の環境に配慮した設計(エコデザイン)の支援などリサイクル率の向上に向けた取り組みを求めている。紙・段ボールと木材はすでにEUの2030年のリサイクル率目標を達成しているが、プラスチック、鉄鋼、アルミニウムはリサイクル率を改善する必要がある(添付資料表参照)。
リサイクルを念頭において設計するエコデザインにより、100%リサイクル可能な包装を目指す。2025年1月公布のEU
包装・包装材廃棄物規則(
PPWR)
(2024年12月20日記事参照)は、2030年以降、リサイクル可能な包装のみが市場投入できると規定している。
(注)拡大生産者責任の枠組みの中で、国の認可を得て、廃棄物の回収、リサイクル、再資源化の仕組みを構築する非営利団体・企業。
(奥山直子)
(フランス、EU)
ビジネス短信 b21b3ee60f7f525d




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