METALEX2025が開催、「製造業DXブース」をジェトロパビリオン内に設置
(タイ、日本)
バンコク発
2025年12月19日
タイのバンコク国際貿易展示場(BITEC)で11月19~22日の4日間、ASEAN最大級の工作機械・金属加工関連展示会「METALEX 2025」が開催された。ジェトロは前年(2024年12月6日記事参照)に続いてジェトロパビリオンを設置し、タイ・ASEANでの販路拡大を目指す日系企業を支援した。
主催者によると、同展示会では国内外から17カ国722社が出展した。来場者数は4日間で10万162人と、前年実績の10万1,937人と比べて、1,700人程度減少し、出展社数も、前年実績の740社から722社に減少した。一方、前年に引き続き中国、ドイツ、シンガポール、韓国、台湾がパビリオンを設置し、タイ市場への各国・地域の関心の高さがうかがえた。日本からは、茨城県、東京都、長野県が独自に自治体ブースを設置し、各自治体の企業の出展支援を行った。
ジェトロパビリオンには25社が出展した。電気自動車(EV)に不可欠なモーター向けの高性能な永久磁石を対象に精密な着磁技術を持つ日本電磁測器のほか、一般の砥石(といし)より高品位な仕上げ加工が可能でバフ・不織布製品と比べて生産性向上を強みに持つ弾性砥石を扱う日本特殊研砥といった企業が、前年に引き続き出展した。
また、アクリテック(電解バリ取り機)、モトヤマ(マイクロ波加熱装置、高速昇温電気炉)、柳瀬(ペーパーディスク、研磨材)など、METALEXジェトロパビリオンへの初出展企業は8社となった。初出展した企業からは「現地市場のニーズや企業動向を把握でき、今後のビジネスの方向性を検討する契機となった」として、今回の出展の意義を評価する声が聞かれた。
また、ジェトロは、今回のMETALEXでも2024年に引き続き、「製造業DX」に特化した特設ブースをパビリオン内に設置した。タイ国内製造業で高まるデジタル化・省人化のニーズの取り込むことを目的に、先進的な製品やソリューションを提供する6社が出展し、その規模は2024年の2倍となった。生産管理システムを提供するグリーミン・ビッグウェルは、日本で自動車や医療機器業界向けに展開している生産管理システムを、タイの製造業DXのニーズへ売り込むため、今回、初めて出展した。その他、クラウド録画サービスを通じて産業現場のDXを支援するセーフィー、画像・動画を活用したマニュアル作成・共有プラットフォームを提供するスタディストが前年に引き続き出展した。
ジェトロパビリオンの様子(ジェトロ撮影)
出展企業の中には、「初出展にもかかわらず、具体的かつ成約確度の高い引き合いを獲得できた」とし、展示会を実質的な商談の場として活用できたと評価する企業も見られた。また、特設ブース出展企業からは、「新規顧客の開拓や新たなニーズの発見などがあり、ビジネスモデルの適正化、製品開発へのフィードバックに有効だった」といった声もあり、タイ市場に新たな活路を見いだし、製品やサービスの高度化につなげようとする姿勢もうかがえた。
なお、2025年度もファナック、川崎重工、安川電機、不二越といった日本を代表するロボットメーカーをはじめ、ヤマザキマザック、アマダ、オークマ、THK、ミツトヨ、ミスミなど工作機械・産業機械関連の日本企業が、主要な通路に面して出展した。出展企業からは、「バイヤーも中国系が昨年より増えている」といった声が聞かれたほか、「中国や台湾などの海外メーカーは安価な製品を展開しているが、製品の耐久性の高さや販売後のアフターサービスなどの付加価値面で勝負している」と、安易な価格競争ではなく、製品からアフターサービスまで含めたトータルでの品質に注力している日系企業の様子がうかがえた。
出展日系企業の様子(ジェトロ撮影)
(野田芳美、塩田康典)
(タイ、日本)
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