中東進出日系企業調査、天然ガスや水素分野を有望視、注目国1位はサウジアラビア
(中東、日本、サウジアラビア)
調査部中東アフリカ課
2025年12月12日
ジェトロは12月11日、「2025年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」を公表した。中東8カ国に進出する日系企業206社(8カ国、177社から有効回答)に対して、現地での活動実態に関するアンケート調査を2025年9月1~22日に実施し、取りまとめたもの。
天然ガスや水素分野に高い期待
進出国または中東市場で有望視するビジネス分野を聞いたところ(複数回答可)、中東8カ国全体では「資源・エネルギー」が36.9%で、前年に続いて最多だった。次いで「インフラ」(33.1%)、「消費市場」(32.5%)、「新産業」(23.8%)となった。国別にみると、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタール、クウェートでは「資源・エネルギー」分野が最も有望視されている。トルコでは「消費市場」(50.0%)、ヨルダンでは「インフラ」(71.4%)が最多となった。
「資源・エネルギー」分野の内訳をみると、対象国全体で「天然ガス」(55.9%)が最多で、前年1位だった「水素」(50.8%)が後に続いた。「インフラ」分野では、前年3位の「都市開発」(39.6%)が「電力」と同率で最多。「消費市場」分野では、「食品」(57.7%)が最多となった。
「資源・エネルギー」分野のうち、UAEでは「天然ガス」(63.3%)、トルコでは「再生可能エネルギー(太陽光)」(66.7%)が最多だった。また、「炭素回収」の回答割合はサウジアラビアで前年比19.2ポイント増、トルコで11.1ポイント増、UAEで6.7ポイント増となり、各国で増加が見られた。「消費市場」分野のうち、トルコでは「輸送機器(二輪・四輪など)」(53.8%)が28.8ポイント増で最多となり、2位の「家電製品」(46.2%)は21.2ポイント増、3位の「食品」(38.5%)は13.5ポイント増と大幅に増加した。「インフラ」分野では、UAEで「都市開発」と「電力」(いずれも46.4%)。サウジアラビアで「水」(50.0%)、トルコで「都市開発」「鉄道」「港湾」(いずれも33.3%)が最多だった。
中東における今後の注目国(複数回答可)については、前年同様に1位がサウジアラビア、2位がUAE、3位がエジプトとなった。トルコが前年6位から4位、イラクが前年7位から5位へと順位を上げたほか、シリアが8位となった。国別の注目点としては、サウジアラビアで国家改革戦略「ビジョン2030」や人口増加・経済成長、脱炭素など、UAEではインフラ整備や不動産投資などが挙がった。イラクやシリアについては、復興需要に期待する声もあった。
(久保田夏帆)
(中東、日本、サウジアラビア)
ビジネス短信 a9c081789c06c734




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