米議会・政権合同委、UFLPAの水産物やバッテリーに対する執行強化を提言、年次報告書発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年12月18日
米国の「中国問題に関する米国連邦議会・行政府委員会(CECC)」は12月11日、2025年の年次報告書を発表
した。CECCは、連邦議会上下院14人の議員および大統領が任命する高官で構成され、中国における法の支配と人権の状況を調査し、立法・行政措置の提言を盛り込んだ年次報告書を議会と政権に提出する。
CECCは284ページに及ぶ報告書で、前年の報告書と同様(2025年1月6日記事参照)、中国政府による新疆ウイグル自治区やチベット自治区における人権侵害や、香港やマカオにおける法の支配の侵害事例を報告した。さらに、米国の選挙に対する虚偽情報の拡散や、中国に批判的な海外の活動家に対する威圧など、中国国内にとどまらない中国政府の民主主義や人権規範への影響力行使を問題視した。
こうした状況を踏まえ、CECCは12の項目で政権と議会に立法・行政措置を提言した。このうち、ウイグル強制労働防止法(UFLPA、注1)の執行強化に向けた提言では、同法に基づくエンティティー・リスト(EL)の拡充や(注2)、水産物およびバッテリーに対する取り締まり強化を盛り込んだ。バッテリーについては、コンゴ民主共和国で強制労働・児童労働を利用し採掘・加工されたコバルトを使用した中国製のリチウムイオンバッテリーや、中国企業が強制労働を利用し採掘したリチウムを使用したバッテリーの輸入を重点的に取り締まるべきと明示した。
(注1)UFLPAの概要や動向は、ジェトロ特集「ウイグル強制労働防止法」参照。
(注2)UFLPAは、物品の採掘・生産・製造に新疆ウイグル自治区、またはUFLPAのELに掲載されている企業・団体が関与する場合、強制労働の利用があるとみなして米国への輸入を原則禁止する。これまでに144企業・団体がUFLPA事業者リストに掲載されている(2025年1月17日記事参照)。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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