米連邦政府に全国民が医療保険に加入できるようにする責任があると大多数が回答、シンクタンク調査

(米国)

調査部米州課

2025年12月11日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは12月10日、医療保険制度に関する意識調査結果(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによれば、米国民の66%が連邦政府には全ての国民が医療保険に加入できるようにする責任があると回答した。連邦政府に責任がないとする割合は33%だった。

連邦政府に責任があるとする回答者の間では、「政府が運営する単一の国民健康保険制度」あるいは「民間企業と政府プログラムを組み合わせた形で提供されるべき」に意見が分かれた。また、連邦政府に責任がないとする回答者の大半は、「高齢者や貧困層をメディケアとメディケイドを通じて引き続きカバーすべき」と考える。

連邦政府に全ての国民が医療保険に加入できるようにする責任があるとする割合は低所得層で77%と高く、中所得層(62%)や高所得層(61%)を上回った。

支持政党別では、民主党支持者は連邦政府に責任があるとする割合は所得にかかわらず9割近かった。共和党支持者では、低所得層は60%と高かったが、中所得層は36%、高所得層は28%にとどまった。

年代別では、若年層(18~29歳)が74%と高く、年齢層が高まるほど低下し、高齢層(65歳以上)では62%だった。

人種別では、黒人が85%と最も高く、アジア系(78%)、ヒスパニック(75%)、白人(59%)が続いた。

オバマケア補助金の期限切れ対応が焦点に

米国では、2025年12月31日に医療費負担適正化法(オバマケア)補助金の期限切れが迫っている。民主党は期限の延長を提案したが、合意に至ってない。

中間選挙にも影響するとみられるため、共和党内でも期限延長を求める動きはあるが、失効前に採決されることは難しいとみられる(政治専門紙「ポリティコ」12月10日)。

また、共和党は補助金の延長ではなく、医療費を賄うため最大1,500ドルの補助金を支給する案を別途検討している。具体的には貧困ライン以下の層に限られ、適格者の国民に対し年齢層別に18~49歳は1,000ドル、50~64歳は1,500ドル支給とする案だという(USAトゥデー12月10日)。

(注)実施時期は2025年11月17~30日。対象者は全米の成人1万357人。

(松岡智恵子)

(米国)

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