香港証券取引所が「テック100」指数を新設、中国本土でETF拡充へ

(香港、中国)

香港発

2025年12月16日

香港証券取引所(HKEX)は12月9日、HKEX初の香港株価指数となる「HKEXテック100」(以下、同指数)の導入を公表した。地域の資本市場エコシステムの活性化に向け、継続的な投資を行うことを強調した。

同指数は、香港に上場する企業100社のパフォーマンスを追跡するベンチマーク指数。人工知能(AI)、バイオテクノロジー・医薬、電気自動車(EV)・スマート運転、IT、インターネット、ロボティクスの6つの革新的分野の時価総額上位100社を対象とする。構成銘柄はすべてサウスバウンド(注1)のストックコネクト(注2)で、グローバルおよび中国本土の投資家の幅広いアクセスを保証するとしている。また、特定の基準や条件を満たす新規上場企業は、中国本土との相互取引銘柄に採用された後、構成銘柄の定期入れ替えを待たずに同指数に組み入れられる「ファスト・エントリー」を採用した。

HKEXの陳翊庭(ボニー・チャン)CEO(最高経営責任者)は、同指数について「香港市場のDNAを変革してきた上場企業の中でも主要かつ革新的な分野をカバーしており、こうした新興産業を育成する上で香港市場が果たす重要な役割を強調するものだ」と指摘。その上で、「今、市場で最も活気に満ち、変革をもたらすことが期待されている分野への投資機会を捉えるための効果的かつ包括的な手段を投資家に提供するもの」と述べた。

HKEXはまた、中国本土の大手資産運用会社、易方達基金管理(E Fund Management)とライセンス契約を締結し、中国本土において同指数と連動した上場投資信託(ETF)を導入することを発表した。

陳CEOは同社とのライセンス契約について、「中国本土における香港株式および関連する商品のさらなる発展を支援するとともに、香港の活気あるテクノロジー分野への投資機会を求める本土の強い市場需要に応えるものだ」とした。また、「進化する投資家のニーズを満たし、新たな投資ツールの創出を支援する革新的な指数と商品の開発に向け、E Fund Managementおよびその他の業界パートナーと緊密に連携していきたい」と表明した。

(注1)中国本土の投資家が本土の証券口座を通じて、香港証券取引所に上場する指定銘柄を売買できる制度。

(注2)自国市場の証券取引所などを通じて相手市場に上場されている株式を直接購入できる株式相互取引。ここでは中国本土と香港間の取引を指す。

(越川剛)

(香港、中国)

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