ニューデリーで韓国文化イベント「Korea Street Fair 2025」開催、若年層で韓国コンテンツが浸透

(インド)

ニューデリー発

2025年12月15日

インドの首都ニューデリーの商業エリア、エアロシティで111416日、韓国の文化とブランドを紹介するイベント「Korea Street Fair 2025」が開催された。会場では、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が在インド韓国大使館と協力し、韓国の美容・食品・ライフスタイル製品の輸入およびプロモーション展示を支援し、50を超える韓国ブランドがブースを出展した。イベントは入場無料で、家族連れから若年層、ビジネス関係者まで幅広い層が足を運び、会期中の来場者数は約6万人に及んだ(主催者発表)。

写真 会場に設置された看板(ジェトロ撮影)

会場に設置された看板(ジェトロ撮影)

出展企業の中には、マレーシアやカンボジアにも展開する韓国発のコンビニエンスストア「emart24」も含まれた。同社はインドを第3の海外市場として注力しており、2025年8月には西部マハーラーシュトラ州のプネに1号店を出店した。今回のフェアでは試験的なプロモーションブースを設け、飲料やスナック、フォトブースなどを通じてテストマーケティングを行った。同社本社の海外展開部門のマネジャーは、インド市場について「若年人口が多く、成長余地の大きい魅力的な市場」と評価する一方で、「食品・小売り関連の規制が厳しく、フランチャイズ展開のスキーム設計が課題になる」としており、規制対応コストを織り込んだ中長期的な市場開拓を視野に入れているという。

20代の女性来場者らは、「2010年代前半の『江南(カンナム)スタイル』ブーム以降、K-POPやドラマを通じて若年層に韓国文化が一気に身近になった。地上波や動画配信サービス、音楽配信プラットフォームを通じて、日常的に韓国コンテンツに触れる機会が多い」とする。また、「韓国レストランはインドのあちこちにあり、価格も若者に手が届く水準。一方、日本食レストランはデリーなど大都市に限られ、価格も高く気軽には行きにくい」と、外食面でのアクセスの差も指摘された。別の10代の女性来場者らは、オンライン通販を通じて韓国コスメを日常的に購入しているとした上で、「日本のコンテンツや商品を避けているわけではなく、日本にも韓国と同じくらい憧れがある。ただ、10代にとってはアニメ以外で日本に触れる機会が少ない」と述べた。その上で、「日本関連のイベントが増えるとうれしい。日本の商品をもっとインドで目にしたい」と、日本の情報発信や展示・販売などの機会増加に期待を示した。

韓国は、K-POPやドラマ、コスメ、食品といった分野で、インドでも若年層を中心に広く浸透している。インドの若年層は日本に対しても一定の関心を有しつつ、イベントや店舗、オンライン上で日本に触れる「場」の不足が指摘された。

写真 会場では化粧品や韓国食品などのブースが並んでいた(ジェトロ撮影)

会場では化粧品や韓国食品などのブースが並んでいた(ジェトロ撮影)

(樋口史紀)

(インド)

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