インド重工業省、焼結レアアース磁石製造促進スキームを承認

(インド)

ニューデリー発

2025年12月03日

インド重工業省は11月26日、焼結レアアース(希土類)磁石の国内製造能力向上のため、予算額が計728億ルピー(約1,310億4,000万円、1ルピー=約1.8円)の製造促進スキームを承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。インドにおいて年間6,000トンのレアアース磁石の一貫生産体制を確立することで、インドを世界のレアアース磁石における主要プレーヤーとして位置付けることを目指す。

米中貿易摩擦を背景として、中国政府は、一部の中・重希土類関連品目に対する輸出管理を2025年4月4日から実施していた(2025年4月7日記事参照)。インドはレアアース磁石の多くを中国からの輸入に依存していることから、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、電子機器など多くの産業への影響が生じた。現地報道によると、2025年10月に一部のインドの事業者の中国からのレアアース磁石の輸入が承認されたものの、依然として、供給のひっ迫状態が続いている(「エコノミック・タイムズ」紙ほか10月31日)。

本スキームは、5年間のレアアース磁石の売上に対する645億ルピーの売上連動インセンティブと、合計で年間6,000トンのレアアース磁石生産能力を持つ施設を整備するための75億ルピーの資本補助金で構成される。国際競争入札を通じて5社に対して割り当てが定められ、各社には年間最大1,200トンの生産能力が割り当てられる予定。スキームの期間は採択決定日から7年間で、最初の2年間は統合型レアアース磁石製造施設の整備期間として充てられ、残りの5年間が売上連動インセンティブの適用期間として定められている。

現在、インドのレアアース磁石需要は主に中国からの輸入によって賄われているが、重工業省は、今後この需要が2025~2030年までの5年間で倍増するとしている。インド政府はこのスキームを通じ、初の統合型レアアース磁石製造施設の設立を後押しすることで、雇用創出、他国に依存しない自立的な産業構造の構築、2070年までの温室効果ガス排出ネットゼロ達成を推進していく考えだ。

(花村大樹)

(インド)

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