ムーディーズがイタリアの信用力を格上げ、メローニ政権を評価
(イタリア)
ミラノ発
2025年12月08日
米国格付け大手ムーディーズは11月21日、国の信用力の格付けにおいて、イタリアを「Baa3」から「Baa2」に1段階引き上げ、見通しを「安定的」と発表した。ムーディーズによるイタリアの格上げは、2002年5月以来23年ぶり。同社は2025年5月にイタリアを「Baa3」に据え置いたものの、見通しを「安定的」から格上げの可能性が高い「ポジティブ」に引き上げていた。
2025年10月にジョルジャ・メローニ政権は発足3年を迎え、イタリア初の女性首相というだけでなく、イタリア共和国で3番目に長い政権となった。ムーディーズは格付け引き上げの理由として、安定した政権および一貫した政策で、経済・財政改革や「国家復興・レジリエンス計画(PNRR)」に基づくEU補助金を軸とした投資が強化されていると評価。PNRRの目標達成に向けても順調に進展しており、加盟国からEUへの支払い要請件数と、欧州委員会からの支払い実行額においてもEU加盟国間で首位にあるとしている。PNRRでイタリアに配分された総額1,944億ユーロについても、最大限活用できると見込んでいる。
また、2026年度予算案では、政府による投資が、2026~2028年にGDP比3.5%超を維持する見込みであることも格上げの好材料としており、PNRRが終了する2026年8月以降も政府による公共投資が維持されるとしている。さらに、堅調な銀行業界、民間の強固なバランスシート、健全な対外収支も経済安定化を支える追加的な要因であるとしている。
今回のムーディーズの格上げにより、2025年にイタリアは3大格付け会社すべてから1段階上の評価を得る結果となった。同年4月にS&Pグローバル・レーティング(S&P)が「BBB」から「BBB+」に、見通しを「安定的」に格上げしたのを皮切りに、同年9月にはフィッチ・レーティングスも「BBB+」に格上げし、見通しを「安定的」としている。
メローニ首相は「政府の一貫した財政政策や構造改革などの取り組み、また企業および労働者の努力が高く評価された結果だ」とし、ジャンカルロ・ジョルジェッティ経済・財務相の尽力に感謝の意を示した。また、ジョルジェッティ氏は「23年ぶりの格上げに大変満足している。現政権、つまりはイタリアに対する新たな信頼を裏付けるものだ」と述べた。
(平川容子)
(イタリア)
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