中国初の冷却塔付き「華龍１号」原子力発電ユニットの建設が始まる

中国・山東省招遠市（煙台市傘下の県級市）の発表によると、中国で初めて冷却塔を備え、大気を利用する冷却方式を採用した「華龍1号」（注）原子力発電ユニットの建設が始まり、中国広核集団（CGN）の山東招遠原子力発電プロジェクト1号機が2025年11月18日に全面的な工事を開始した。

山東招遠原子力発電の喻東執行取締役によると、同プロジェクトでは、高さ203メートル、散水面積1万6,800平方メートルの自然通風冷却塔を設置する。従来の海水冷却に代えて、冷却水を塔内で循環させ、大気を冷却源として利用する。海水は補助水源としてのみ使用し、水資源の消費を大幅に抑える。この仕組みによりエネルギー消費を大幅に削減しつつ、また、飛散水率を低減して冷却源の安全性を高めるとしている。

中広核工程（CGNの子会社）の楊亜璋副総経理は、冷却塔には自備水槽を設けており、補給水の供給が途絶しても、原子炉を30日間以上冷却できると説明した。また、非常時には少なくとも2時間の連続運転が可能で、安全停止に必要な時間を確保できるとも述べた。この設計により水源への依存度を下げ、水資源が乏しい地域や環境規制が厳しい地域でも安定的な運転を可能にするという。

同プロジェクト稼働後の年間発電量は500億キロワット時に達し、約500万人分の電力需要を満たす見込みだ。これにより、標準石炭約1,527万トン分の消費を削減し、二酸化炭素（CO2）排出量を約4,620万トン削減する効果があるとしている。また、環境保護効果は11万ヘクタールを超える植林に相当するとされる。

（注）華竜1号は、中国の2大原子力企業の中国広核集団(CGN)と中国核工業集団（CNNC）によって共同研究開発された、100万キロワット級の第3世代加圧水型原子炉で、中国の原子力発電の主力炉型だ。

（董玥涵）