ガンビアで官民連携強化へ、保健・教育・若者の福祉分野で議論

(ガンビア、セネガル)

アビジャン発

2025年12月17日

官民連携をテーマにした国際カンファレンス「Public-Private Partnership Dialogue」(国連児童基金「ユニセフ」・ガンビア主催)が12月9~10日の2日間、ガンビアで開催された。議論の焦点は、ガンビアの子供と若者の福祉についての、保健、教育、雇用、デジタル技術の課題に対する官民連携の枠組み構築だ。

隣国セネガルの赤松武日本大使(注)はビデオメッセージで登壇し、2025年8月に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)で確認された、官民連携によるイノベーションの重要性を強調した。開会あいさつに登壇したガンビアのバブカー・ボイェ(Baboucarr Bouy)公共サービス相は、かつて教育は公的機関のみが取り組むべき分野だとされていたことに言及し、実際は「教育への投資は社会的利益だけでなく、民間企業にとっても高いリターンをもたらす」と述べ、官民双方にとってのメリットを訴えた。

パネルディスカッションに登壇したキュー・グループ(Q Group)のチャリティー財団であるキュー・グループ・ファンデーション(Q‑Group Foundation)事務局長のイサト・ジャー(Isatou Jah)氏は、ガンビア人口の54%が若者であることに言及し、同社と国の将来を考えるなら若者に投資するべきであると強調した。一方で、エコバンクのコーポレートバンキング部門長のフランシス・ジャッタ(Francis Jatta)氏は、官民連携による若者への投資の重要性を認めつつも、効果測定方法が課題と述べた。また、ジャッタ氏はこれからの教育方針について、「被雇用者になるための教育ではなく、自分で仕事を創るための教育」が重要だと述べた。

2日目には、ガンビアの基礎・中等教育省(MoBSE)が登壇し、民間企業と協業して農村部における教育環境向上に取り組む意欲を示した。具体的な事例紹介のため登壇した日系スタートアップ、シュークルキューブジャポン(SUCRECUBE Japon外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の佐藤弘一代表取締役は、ガンビアの小学校122校に太陽光発電システムとデジタル学習ツールを導入し、電力不足とインターネット接続の課題を解決することを目的としたプロジェクトを紹介した。同社はセネガルで事業実績があり、ガンビアでは本事業についてユニセフと契約を締結した。

写真 事業を紹介するシュークルキューブジャポンの佐藤代表取締役(ジェトロ撮影)

事業を紹介するシュークルキューブジャポンの佐藤代表取締役(ジェトロ撮影)

写真 カンファレス関係者集合写真(ジェトロ撮影)

カンファレス関係者集合写真(ジェトロ撮影)

(注)ガンビアに日本大使館はなく、在セネガル日本大使館が管轄している。

(安藤佳耶)

(ガンビア、セネガル)

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