フランス鉄道車両大手アルストム、モロッコで世界初の列車運転台専用生産ライン設置

(モロッコ、フランス)

ラバト発

2025年12月26日

フランスの鉄道車両大手アルストム(Alstom)は12月9日、モロッコにおける産業拠点強化に向け、1億モロッコ・ディルハム(約17億円、1ディルハム=約17円)の戦略的投資を実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。投資の中心となるのは、世界初となるマルチプラットフォーム対応(注)の運転操作台専用生産ラインで、同社によれば、モロッコを同部品の国際供給拠点として位置付ける狙いがあるとしている。

新たな生産ラインで製造される運転操作台は、アルストムが世界で展開する車両プロジェクト向けに供給される。マルタン・ボジュールAMECA(アフリカ・中東・中央アジア)地域社長は、「当地域で世界初の生産ラインを立ち上げることは、私たちが構築してきた産業基盤の強化を象徴しており、同地域がグループに戦略的な産業ソリューションを提供できることを示すものだ」と述べた。

併せて、同社は、変圧器生産能力の倍増や、開発・エンジニアリングオフィスの新設を含む産業開発計画も開始するとしている。これにより、200人以上の新規雇用創出が見込まれ、モロッコ国内の鉄道産業エコシステムを強化し、地域経済成長に貢献するとしている。また、モロッコが世界の鉄道バリューチェーンに果たす貢献をさらに強化するものと述べている。

今回の投資は、同社が2020年以降進めてきたフェズ工業地整備やモロッコ国内初の変圧器生産ライン開設(累計約2億ディルハム投資)に続くもの。同社は既にモロッコ国内で1,400人超を雇用しており、ラバト~カサブランカ線向けの「Citadis」トラム270両、タンジェ~カサブランカ高速鉄道向け「Avelia Euroduplex」列車12両、「Prima」機関車77両など主要案件を供給してきた実績を有する(「Citadis」「Avelia Euroduplex」「Prima」はアルストム・グループの商標)。

(注)互換性があり、車種・車両シリーズ・鉄道システムの違いをまたいで使える

(鈴木優香)

(モロッコ、フランス)

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