ジェトロ、UAEに「環境・インフラ投資環境視察ミッション」を派遣

(アラブ首長国連邦、日本)

海外ビジネスサポートセンターお客様サポート課

2025年12月05日

ジェトロは111720日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、アブダビ、シャルジャに「環境・インフラ投資環境視察ミッション」を派遣した。UAEでは、循環型経済の推進と持続可能な開発を目的に、「統合廃棄物管理国家アジェンダ」や水不足解消に向けた「UAE水安全保障戦略2036外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」など、環境分野における国家戦略を掲げている。今回のミッションは、排水処理施設や廃棄物処理施設を視察し、同国における環境ビジネスの可能性を探ることを目的に、15社が参加した。

1日目は、ドバイの廃棄物発電処理施設Warsan Waste Management CompanyWWMC)で、廃棄物処理の工程や発電プロセス「Waste-to-Energy」について説明を受け、施設を視察した。同施設は2024年に稼働し、現在は年間約190万トンの廃棄物を約220メガワット(MW)のクリーンエネルギーに変え、焼却灰からの金属回収も行っているとのことだ。

写真 WWMCを視察(ジェトロ撮影)

WWMCを視察(ジェトロ撮影)

2日目には、アブダビに移動し、アブダビ投資庁(ADIO)がミッション団を迎えるかたちで日本・アブダビビジネスフォーラムを開催。ハリーファ経済特区アブダビ(KEZAD)からアブダビの投資環境について説明を受けた。続いて、アブダビ国営エネルギー会社(TAQA)が運営する「Al Wathba」排水処理施設を視察した。同施設での処理能力は1日あたり30万立方メートルで、約100万人の人口に対応する能力がある。排水を再利用可能な資源へ転換する循環型の仕組みが導入されているとのことだ。

3日目には、KEZADに入居する食品メーカーのNational Food Products CompanyNFPC)を訪問し、飲料製造ラインに加えて、排水処理施設を視察した。前日の公共の下水処理施設に加えて、民間企業の排水処理設備を視察することができた。午後に、シャルジャに移動し、UAEで初めて建設された廃棄物発電施設「Sharjah Waste to Energy Facility」を訪問した。同施設は、フランスの廃棄物発電プラント機器メーカーCNIM製のボイラーなどが導入され、環境サービス企業ヴェオリアが運営・保守を担当する。年間約30万トンの廃棄物を処理しており、およそ28,000世帯分の電力を賄える30MW(メガワット)のクリーンエネルギーを生み出している。同施設の説明では、廃棄物ゼロの持続可能な都市構想についても紹介された。

写真 NFPCを視察(ジェトロ撮影)

NFPCを視察(ジェトロ撮影)

最終日には、シャルジャ電力水ガス庁(SEWA)が運営する海水淡水化施設Al Hamriyah IWPを視察した。この施設は海水逆浸透膜(SWRO)技術を採用し、2028年には140万人分の飲料水が賄える量である1日あたり41万立方メートルの淡水を供給する計画だ。午後に、シャルジャ商工会議所が主催する日本・シャルジャビジネスフォーラムが行われ、同商工会議所事務局長によるあいさつの後、参加日本企業によるプレゼンテーションと現地企業とのネットワーキングが行われた。その後、SEWAの地下水淡水化施設を視察し、淡水化プロセスや水質管理について説明を受けた。

写真 日本・シャルジャビジネスフォーラム(ジェトロ撮影)

日本・シャルジャビジネスフォーラム(ジェトロ撮影)

参加者からは、「現場スタッフと直接コミュニケーションが取れ、意義のあるミッションとなった」「同種事業への事業投資において、狙うべきエリアや協業可能性のあるパートナーについて情報収集ができた」との声が寄せられた。

(大野晃三、植田晶菜)

(アラブ首長国連邦、日本)

ビジネス短信 7471c6c8aad9b5c1