イスラエルのネタニヤフ首相、汚職裁判で大統領に恩赦を正式要請

(イスラエル、米国)

テルアビブ発

2025年12月01日

イスラエルで贈賄、詐欺、背任の罪で裁判中のベンヤミン・ネタニヤフ首相は11月30日、アイザック・ヘルツォーク大統領に恩赦を正式に要請した。要請書は大統領府に提出され、関係機関の意見を集約後、法律顧問が勧告を作成し、最終判断が下される予定だ。大統領府は声明で、「重大な影響を伴う異例の要請だ。全ての関連意見を受け取った後、責任を持って真摯(しんし)に検討する」と表明した(「グローブズ」紙11月30日)。

ネタニヤフ首相は、国民向けビデオメッセージで「裁判は6年続いており、さらに数年続く見込み」とし、「裁判の継続は分断を深めている」と述べた。裁判の即時終結が「炎を鎮め、わが国が必要とする広範な和解を促進する」と強調した。さらに、週3回の証言義務を「前例のない負担」と批判し、「米国のドナルド・トランプ大統領からも裁判終結を促す書簡が届いた」と説明した。同首相は「国の利益を願う全ての人がこの措置を支持することを期待する」と訴えた。

一方、野党は強く反発し、ヤイル・ラピッド前首相は「罪認定、謝罪、政治からの退場なしに恩赦を求めることはできない」と批判した。右派政党イスラエル・ベイテイヌ党首のアビグドール・リーベルマン前財務相も「国家的課題が山積する中、恩赦要請は世論操作の戦術だ」と非難した(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙11月30日)。なお、11月12日にはトランプ大統領が「訴追は政治的かつ不当」として、全面恩赦を求める書簡をヘルツォーク大統領に送付している。

(アリサ・ノスキン、中溝丘)

(イスラエル、米国)

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