中東進出日系企業、営業黒字の企業比率は3年連続で過去最高

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ、イスラエル)

調査部中東アフリカ課

2025年12月16日

ジェトロは12月11日、「2025年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」を発表した。中東8カ国に拠点を有する日系企業206社を対象にオンラインによるアンケート調査を実施し、とりまとめたもの。8カ国177社から有効回答を得た。

2025年の営業利益見込みについては、73.8%の企業が「黒字」と回答し、3年連続で過去最高(注)を記録し、世界全体の割合(66.5%)を上回った。赤字を見込む企業は前年比2.2ポイント減の10.7%となった。国別の黒字企業割合では、アラブ首長国連邦(UAE、83.3%)とトルコ(81.8%)で8割を超え、サウジアラビアが15.0ポイント増の75.0%で続いた。

2025年の営業利益見込みは、前年比で「改善」したとの回答が28.7%、「横ばい」が51.6%で最も多く、「悪化」が19.7%だった。改善理由(複数回答可)では、「現地市場での需要増加」が約8割の一方、「悪化」理由としては「他社との競合激化などによるシェアの縮小」「人件費の上昇」が34.8%で最も多かった。2026年の営業利益見通しは、「改善」が39.5%、「横ばい」が52.1%で、合わせて9割強を占めた。特に、トルコでは中東全体を大きく上回る57.1%の企業が「改善」の見通しだった。業種別にみると、製造業では「改善」見通しが45.5%と、非製造業(37.2%)を上回った。

今後の事業方針は「拡大」が約半数

今後1~2年の事業方針については、「拡大」と回答した企業割合が前年から0.6ポイント減の49.1%だった。国別に「拡大」割合をみると、UAE(61.8%)、サウジアラビア(53.8%)で50%以上となった。また、イスラエルでは3年ぶりに「拡大」が前年比で増加し、32.0%となった。拡大理由(複数回答可)では、前年同様に「現地市場ニーズの拡大」(64.0%)が最多で、「輸出の増加」(37.2%)が続いた。

「中東進出においてパートナーとなりうる企業」を尋ねる設問では、「現地(進出先国)企業」との回答が58.1%で最多となり、中東企業(トルコを含む)が12.0%、日本企業が9.0%、インド企業が2.4%で続いた。

(注)比較可能な2015年以降。

(波多野瞭平、坂根咲花)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ、イスラエル)

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