タイ、労働者保護法を改正、出産・育児休暇制度を拡充
(タイ)
バンコク発
2025年12月26日
タイ政府は11月7日、労働者保護法改正法を公布し、12月7日に施行した。本改正は、社会経済情勢の変化に適応するため、出産・育児休暇制度の拡充など労働環境を整備することを目的としたもの。
11月7日付の官報
によると、具体的な改正点は次のとおり。
- 妊娠中の女性従業員が取得できる産前産後休暇の日数を、1回の出産につき、98日から120日に拡大。このうち雇用者が賃金を全額支払う義務は、これまでの45日間から60日間に延長。
- 出産した子供が合併症や障害、先天性疾患にり患している場合は、産前産後休暇に連続して、さらに15日を上限に、休暇取得が可能。ただし、医師の診断書の提出が必要。
- 上記の追加期間中、雇用者には通常賃金の50%を支払う義務が発生。
- 配偶者が出産する従業員は、配偶者の出産を補助するため、1回の出産につき、15日を上限に全額の有給休暇の取得が可能。
- 国家機関とのサービス契約に従事する従業員は、賃金、休日、休暇に関して、一般従業員と同じ権利が得られる(注)。
- 10人以上の従業員を雇用する者は、毎年1月末までに、雇用および労働条件を示す書類を労働局に提出しなければならない。
政府副報道官のラリダ・ペリスウィワタナ氏は、「労働者保護法の改正は、労働者の権利を大幅に改善し、タイにおける労働改革の大きな一歩と見なされており、仕事と家庭の両立を目指している」と述べた。
(注)タイでは、国家公務員等の休暇や賃金などの労働環境については、国家公務員法や公務員委員会規則などで規定・保護されており、労働者保護法の適用が除外されている。これまで、労働者の権利保障等が明確でなかった国家機関とのサービス契約に従事する従業員について、今回、労働者保護法の適用を受ける民間企業の従業員等と同等の権利が得られるよう明確化する改正となっている。
(野田芳美)
(タイ)
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